「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 1月18日(月) 晴れ

東の風 波少しあり 水温21度

 別にオザワイチローをかばうわけじゃあないけど、合法違法に関わらず、自民党が野に下ることが確定した直後にどこかに消えたという、「機密費」何十億円の行方をこそ僕は知りたいぞ、マスコミ。
 どうして誰もあれをもっと追及しないんだろう??
 あれは税金ですぜ、税金。

 「政治とカネ」の権化のような党がそれについて批判しているという、ブラックジョークのようなくだらないニュースよりも、今日観るべきはクローズアップ現代だった。
 みなさんご覧になりました??
 ワタシャもう、「悟空の大冒険」を観たヤツのように、ビックリしてひっくり返ってホイッてなことに、なってしまう…………かもね。<ご存知?

 なんと今、アメリカには、脳波で動かすオモチャが流行っているというのだ!!

 日本でもすでにその脳波を動力に繋げる応用は車椅子でも利用されていて、脳の指示だけで車椅子が動くのである!!

 ……いやあもう、ちょっと前のSF映画の世界ではないか。 
 オモチャで脳波が異常発達した子供が、突然カメハメ波を発射する日も近い。

 今のところその応用の矛先は、医療の分野やスポーツ科学、そして商業の世界で留まっているけれど、これの軍事利用をすでにアメリカが実現させていないはずはない。もうこれからは何を発射するにもボタンを押す必要はない。<それってなんか危なくね??

 そうだ!!
 いっそのこと、国会において議員どもを全員座らせ、「あなたは政治資金の管理で違法なことをしていますね?」という質問の脳波鑑定をすればいいのだ。ビンゴなヤツの名札がピョーッと舞い上がるってのはどうよ。

 防衛大の卒業式の帽子なみに、そこらじゅうで舞い上がったりして……。 

 さてさて、今日もいい天気だった。
 晴れると朝は放射冷却で寒いものの、日が出るとやっぱり南国亜熱帯、ポカポカと暖かい。
 そんな陸の朗らかさに騙されて海に行くと、気温と大して変わらない水温が瞬く間に体温を奪っていく。

 20度に限りなく近い21度は、例年どおりだったら、水納島周辺での年間最低水温。このまま4月までずっとこの水温とつきあっていかねばならない……。

 といいつつ、4月まではオフなんだけどね。

 21度弱になると、集中力の持続力は30分くらいになる。
 30分を過ぎると、カメラを構えてジッと粘ろうなんて気にならなくなるほどに寒い。「集中」といっても、平時でさえ拡散波動砲のように広範囲に渡ってしまう僕だから、それが寒さのために半減以下ともなると、もはや絶対に白色彗星の渦の中心核は撃てっこない。
 脳波でシャッターを押せるカメラが開発されても、冬場の僕の脳からはデルタ波しか出てないからきっと役に立たないだろう……。

 今日はそのタイムリミット30分になるまでに、ハナダイちゃんを撮ることにしていた。ハナダイ類は大好きな魚のひとつで、若かりし頃は世界中のハナダイ類を写真に納めたい、などと見果てぬ夢を見ていたものだった。

 ところが、最近はほとんどマジメに撮っていなかったことに気がついた。なので、久しぶりに彼らにカメラの前でポーズを撮ってもらった。

 キンギョハナダイ君。
 なんとか正面から口を開けているところを撮れないものかと頑張ったんだけど、30分経つ前から寒すぎて粘ろうという気が起こらない……。

 ハナダイとはよく言ったもので、彼らの群れは本当に花吹雪のよう。どんなにベータ波に毒された人の脳でも、たちまちアルファ波の大洪水になるだろう。
 でも昔に比べると随分数を減らしてしまったので、文字通りの花吹雪を体感できる場所はめっきり減ってしまった。

 それでも、水深が深いためにあまり人が訪れない根に行くと、今でもけっこう数多く群れているところもある。以前はこのような根が水深十数メートルの浅いところにたくさんあったんだけどなぁ……。

 彼らは、特にケラマハナダイはどちらかというと夏よりも水温が冷たいほうが求愛行動が活発で、花吹雪のそこかしこで急速急降下泳ぎ(Uスイミングという)を繰り返している。その様子は、花吹雪というよりはなんだか流星群のようですらある。

 そうやってボーッと眺めているから、すぐに寒さのタイムリミットになってしまうのか。

 で、寒くなったので戻ろうと思ったそのとき、目の前を見慣れぬ魚が横切っていった。
 シラタキベラダマシだ!!

 ハナダイたちが群れ集うような根にたいてい1〜2ハーレムくらいいるヤマシロベラやシラタキベラと同系統のベラなんだけど、彼はもう少し大きく、そしてけっこう珍しい。これまでに数度しか観たことがない………と思うんだけど記憶はアヤシイ。

 でも少ないというのはたしかで、ここでも写真のオスのほかに同種は見当たらなかった。誰もいなくて寂しいからか、写真のようにヤマシロベラのメスにモーションをかけていた。

 まぁ、この手の魚に反応してくれる人はいないだろうけど、僕的にはちょっと血が騒いだので、寒さを忘れてパシパシ撮っていたら、今度は窒素の限界になってしまった。
 ろくに撮れずにやむなく帰還。

 さて、昨日の日記で触れたとおり、部分日食のことをカレンダーにしっかり印刷してあったことを軽く自慢していた某海洋写真家は、今日もこの日の天体イベントをそっと教えてくれた。

 日没後の西の空で、細い細い月と木星が並ぶというのだ。
 そう、ウィンクだ。
 細い月のそばに惑星が来るのはわりと目にする機会が多いとはいえ、せっかく教えてくれたのでちゃんと観ておいた。

 でもこんな写真じゃ何も見えないっすね……。
 拡大するとこんな感じです。

 こうしてヘタに撮ると露出の加減で月全体がうっすらと見えてしまうので、そうなるとウィンクというよりは眠たげに閉じられた目みたい……。

 ま、写真の出来はともかく、こうして空にウィンクされて終わる一日というのも、なかなかオシャレではありますな。