「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 3月3日(水) 晴れ

北東のち南東の風  おだやか  水温21度

 昨日とはうって変わって、ポカポカ陽気で春うらら。
 おかげで蚊は飛び交うし、シーベーが出始めるし、タイワンキドクガの幼虫…つまり毛虫も蠢き始めた。

 蠢く虫たちと同じく、我々も陽気に誘われて海へ。

 エントリー早々に、サバヒー10匹の群れと、それに弾かれたグルクンたちの奔流に歓迎を受けた。
 水は冷たいけど、晴れているとやはり心地いい。

 わりと水は良い。
 良いけど冷たい。
 冷たいのだから、せめて眺める魚くらいは派手派手なトロピカル光線……にしたかったのに、ついついジミー君たちに目が行ってしまった。

 一部を除き、存在そのものが地味といっていいのがテンジクダイの仲間たち。しかし地味とはいえ彼女たちはなにげにオシャレで、アイシャドーが海中で妖しく光る。


地味な魚は、派手なものと一緒に撮ってあげるとわりと引き立つ

 これはスミツキアトヒキテンジクダイ。 
 彼女たちを目にする機会は多くはない。なのに、なぜかこの写真を撮った場所にだけ、穴倉の中で群れ集まっている。
 図鑑によるとこの仲間は「礁池に生息」とある。でも水納島の場合、リーフの中で観たことはない…………
気がする

 で、こちらは同じアイシャドー仲間のアオスジテンジクダイ。
 スミツキ…よりは目にする機会は多いものの、より一層深い場所にいる傾向があるし、群れ集まるというほどではないから、知らず知らずのうちに見過ごしておられる方も多かろう。
 日中はたいてい岩陰にいるものとばかり思っていたら、どういうわけかここにいるアオスジ君たちは、バラバラと表に出ていることが多い。

 これらジミー君たちを撮っていると、うちの奥さんがなにやらモノ言いたげに近寄ってきた。
 何かがいたらしい。
 20mほど離れたところまで案内してもらって撮ったのがこれ。

 ご存知タツウミヤッコ。
 少ないときでも年に1、2度は必ず観ている。でもこんなに小さいのは滅多に観られない。
 あ、後の肌色は例によってワタクシの人差し指ね。

 で、その後再びジミー君を撮っていると、またしてもヘンテコな顔をしてうちの奥さんが近づいてきた。
 また何かいたらしい。
 で、さらにまた案内してもらって撮ったのがこれ。

 タツノハトコ?イトコ?
 図鑑によると、背びれの部分に肉質部があるとイトコで、ないとハトコってことらしい。アルトイトコ・ナイトハトコと覚えよう。
 その見分け方からすると、この写真の子はどうやらタツノイトコになる(でしょ?)。

 となると、お魚コーナーで紹介しているタツノハトコは、実はタツノイトコではなかろうか………。

 ま、いいか。<いいのか?
 これも、観たいと言われてすぐさまご覧いただける魚ではないものの、ちょくちょく目にするので個人的には珍しいとは思っていない。
 でも、こんな小さな子に会えるとやはりウレシイ。
 撮るのを忘れちゃった対人比の代わりに、彼が巻きついているゴカイの管と比べてみてね。
 小さいでしょ。

 タツノイトコにしろタツウミヤッコにしろ、わざわざ呼んでまでして見せてくれるのはうれしいものの、うちの奥さんはなんで自分のカメラで撮らないのかが不思議だ。
 というか、これらをキチンと撮っていてくれれば、僕は僕で撮りたいものをそのまま撮っていられるんだけどなぁ……。