「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 6月12日(土) 晴れ

西の風 少し波あり 水温24〜25度

 さすがにここまできたらもうネタ切れだろうと思われたこの日。
 タコ主任はまたしてもやってくれた。

 天気予報を覆す、見事に晴れ渡る初夏の海。滞在最終日にしてようやくカメラ器材の諸々の問題を解決させた彼は、清々しい朝のひとときにこうつぶやいた。

 「よぉ〜し、これでもう何も起こりようがない。」

 ああしかし。
 一本目、カメラ片手にリーフ際をうろついているタコ主任が視界の片隅に入っていたのだが、彼はいっこうに撮影する気配がない。
 フィルム撮りきったのかな??
 くらいには思っていた(そう、タコ主任はいまだにがんばって銀塩写真<特に意味も意義もなく)。

 しかしそれにしては終了が早すぎる。
 ひょっとして……??

 またやってしまったのだった。
 10枚くらい撮ったあとのこと。シャッターを押しても何のアクションも起こらない。というか、シャッターを押す感覚が、まるでオイルが抜け切ってしまったクラッチを踏んでいるような無抵抗感。

 ????

 と思いながら、ダイビング終了後タコ主任はハウジングを開けてみると……

 なんと、シャッターボタンを押すためのバーが、ヘニョッと明後日の方向を向いているではないか。

 これじゃあ、シャッター押せるはずがない…。

 このハウジングは、そもそも我が家の昔のものなので、そのあたりが微妙な状態のまま放置されていたのだろう。で、今日10枚撮るところまではギリギリ保たれていたものが、ついにガマンの限界を超えてしまったようだ。

 それにしても、ここまでネタを提供してくれるとは……。

 なんとか昼時に処置をして、2本目は無事に。
 最後の最後でようやくフツーに潜ることができたのだった。
 4泊5日の滞在中のたった6本のダイビングで、ここまでネタを提供してくれた人がかつていたろうか。

 わざとなのか??

 いつものように、タコ主任を普段の憂さ晴らしアイテムにするために同行しているうみまーる・KINDONは、思わずこうつぶやいた。

 「今回ばかりは僕の出る幕はなかったなぁ」

 天下の売れっ子写真家ユニットうみまーるを向こうに回し、滞在中堂々と主役の座を射止め続けたタコ主任。
 …しかしこのままでいくと、ひょっとすると本当に豆腐の角で頭をぶつけて死んでしまう人になるかもしれない………。

 

 タコ主任WITHうみまーる「一潜入魂」の図。
 そして写真家は、最後に一言つぶやいた。

 「タコ主任の場合は、一潜鎮魂ですなぁ」