「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 6月14日(月) うす曇りの晴れ

南東の風 おだやか 水温25度

 ……勝っちゃった!!

 いやあ………。
 えー……日本代表チームならびに熱烈なるサポーターのみなさん、ワタクシの不見識をお詫びいたします。

 僕はもう、この一勝で満足です。
 ありがとう、日本代表。

 …マスコミは、次のオランダ戦に向けて、「勝てる!」「いける!」「相手の誰それは不調!!」などなど、またまた景気のいい言葉を並べ立てるのだろうなぁ。

 さてさて、この日もゲストの案内はうちの奥さんに任せ、僕はカメラを抱えてエントリー。
 直後、眼下の海底にアヤシゲな物体が漂っていた。

 ん??

 ひょっとして………
 と期待半分でつぶさに眺めてみたら、それはホントにこれだった。


移動する際はこの姿勢で、能動的にプイ〜ンと漂う。

 ジャパピグ!!

 あれは何年前のことだったか……。
 まだ世の中がピグミー・シーホースブームに沸いていた頃だった。
 なんでもない海底でふと見つけたこの魚は、絶対に新種に違いないと狂喜して、勝手に「タツノカクシゴ」と命名して喜んでいたら、

 「業界ではジャパニーズ・ピグミー・シーホースと呼ばれています」

 と、掲示板でゲストにご指摘いただいたのだった。
 とっくの昔に既知の魚だったのね……。

 その後は水納島でもわりと見つかっているらしく、見つけづらいけど、業界的にもそれほど騒がれる魚ではなくなった。
 が、熱心に探すわけではない僕にとっては、これまでずっとその一度きりの出会いだったのだ。
 しかも、その時撮った唯一ピントが合っていた写真が、なぜか行方不明に。手元には、サイトにアップするためにショボいスキャナーでスキャンした、小さな小さな
JPEG画像しか残っていなかった。

 それが、久しぶりの再会。
 激写したのはいうまでもない。

 あ、ちなみにこの魚のサイズは、ピグミーといわれるだけあってとても小さく、全長は2センチもない。
 ここにいる、という特定の場所がなかなかないので、「観たい!」と懇願されても、この辺にいた、とは言えても、ここにいる、とは言えませんのであしからず。

 だから、この日のゲストは、この魚を目にするという貴重な体験をなさったわけなのだ。
 が、彼女は通算ダイビング本数一ケタ。
 肉眼ではゴミか魚かよくわからないようなモノを見せられて、それがすぐさま「ヨロコビ」に変わるはずはないのだった。