「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 9月8日(水) 晴れ

南の風 やや波あり 水温28度

 今年はカメに出会う機会がやたらと多い。

 …といいながら、僕がカメラを持っているときに出会えたためしがない。
 先月のあるときなどは、ついにカメラを持っているときに出会えて、それもフレンドリーっぽい子だったから、チャンス!とばかりに近寄ろうとすると、繁殖期間中のゴマモンガラのオスにアオウミガメ君は蹴散らされ、あろうことか僕まで50mほど追いかけまくられる破目になってしまい、カメの撮影どころではなくなってしまった。

 ガイド中に目にするような、フレンドリーな状態で出会ってみたい…。

 今日もそう願い続けていたら、アカウミガメのおじいがいつもの穴倉で休憩していた。

 チャンス!

 最初は微動だにしなかったけれど、しばらくすると動き始めたので、いつも彼が出入りしているところで待機。ここにいれば、間近から2、3枚撮らしてもらえることだろう。

 ところが!

 どういうわけかカメおじいは反対側から外に。
 せっかくの大チャンス、そんなことで逃してしまってはあまりにも惜しい。

 なので、ダッシュでランデブー。
 カメおじいはゆったり泳いでくれているものの、そもそもがでかいのでひとかきの威力がすごく、ついていくだけでしんどい。そのままずーっと泳ぎ続けていられたら、僕の息は切れていたことだろう。

 でもカメおじいは、一度息継ぎをした後再びゆったりと海底方面に下りてきてくれて、のんびりと着底してくれた。

 再びチャンス!!
 パシャッ。

 あ…………寄り過ぎちゃった。
 心を落ち着かせて……

 うーん、ロンサム・ジョージにも似た賢者の風貌。アオウミガメのように可愛いわけではないものの、なにしろ彼らは太平洋を果てしなく旅した果てに大人になっているのだ。人生的陰影はアオウミガメと比べようもない。

 とはいえやはり、ウミガメさんは泳いでいるときのほうがカッコイイ。

 でもやっぱり、カメさんが最も絵になるのはシルエット。

 ああ、カメ様………。

 これでとりあえず、アカウミガメのおじいに関しては今年の目的が果たせた。
 あとは、カメラを持っている時に、フレンドリーなアオウミガメ君と出会いたいなぁ…。