「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 10月1日(金) 晴れ

北東の風 やや波あり 水温27度

 10月の幕開けは、近来稀に見る透明度で始まった。
 そして流れもほとんど無し!

 この日スノーケリングをされたゲストの方々は、ひょっとするとこれが「フツー」の状態と思われたかもしれないけれど、15年前の水納島もかくや、というほどに久しぶりにクリアな海中だった。白い砂地で水がきれいなときほど気持ちのいいダイビングは他に無い。

 広々と見渡せて、なおかつ流れもなかったので、カメラを抱えた僕は、久しぶりに深いところにある根まで行ってみた。
 初夏にベニハナダイを見つけた場所だ。

 するとそこに………

 スミレナガハナダイのチビターレがいた。
 ご存知のとおり、スミレナガハナダイといえば普通はドロップオフ環境にいる魚で、通常は砂地にはいない。

 けれどその昔、さらにさらに深い砂地の根でスミレナガハナダイの立派なハーレムを見たことがある。
 わりと大きな根で、根自体が小さなドロップオフを形作っているようなところだったからだろうか。オスの姿を3匹くらい見た記憶がある。

 とはいえそれはもう10年以上前のことだから、砂地でスミレナガハナダイを観るのは久しぶりだ。
 当然ながら彼女もベニハナダイ同様、ここでたくさん群れ成している他のハナダイたちからは浮いた存在になっている。またヘラヤガラに食べられちゃうかもしれない。

 でも、彼女たちのもともとの習性がベニハナダイとは違うらしく、ベニハナダイが何の躊躇も無く普通に泳いでいたのとは対照的に、このスミレさんはいつでも岩陰に逃げられるようなところでしか泳いでいなかった。
 そういった習性の違いが、個体数の差として表れるのか?

 ともかく、この先の彼女の無事を祈ろう。