「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2010年 12月16日(木) 雨

北の風 大荒れ 

 まるで台風通過中ででもあるかのような、激荒れの1日。
 おまけにこの冬一番といってもいいほどの冷え込みで、そのうえ氷雨が降り続く。
 自慢じゃないけど、玄関から一歩も外に出なかった…。

 以前は、大陸の高気圧が張り出して北風が吹き荒れる日といえば、せいぜい曇り空程度だった。ところがここ2、3年は、強い北風プラス雨、という日が増えている気がする。
 これも温暖化の影響か??
 それはさておき、海は激荒れ、お天気は雨って、こんな時に来沖している人は、その他人生の重要ポイントでことごとくはずしまくっているに違いない。

 ここ数日のこんな「冬」を思えば、先週末の夏のような陽気は奇跡に近い。
 そんな奇跡の日々だからこそ、我々はこの季節にもかかわらず1日に2本ずつ潜っていたのだった。

 何をしていたのか?

 それはつまりこういうことだ。


撮影:オタマサ

 Cカード講習♪
 え?オフシーズンなのに営業しているのかって?
 いえいえ、これは「仕事」ではござんせん。
 講習を受けているのは、ご存知スーパーB型ボーイ・リョウ。現在中学3年生の彼は今年で15歳になっているので、ジュニアではない通常のカードを発行することができるのだ。
 過去にミクニ、そして姫も「卒業&合格祝い」の前倒しということで3年生のときにCカード講習をしている。今回もリョウへの「誕生日&卒業&合格」祝いを前倒しで、ということは本人と約束してあった。

 彼の誕生日は6月なので、本当は夏前に講習をしておいて、それ以降ヒマなときがあれば海に連れて行ける……と考えていたのだが、なにぶんいろいろと忙しい水納中学校のこと、うちは暇でも彼が忙しい日のほうが多く、そうこうするうちに夏が終わった。

 しょうがないから10月にでも……じゃあ11月に……と言っているうちについに12月。ホントにもう、昔から水納中学校はHave to事項が多すぎる!!

 なんとしても今年のうちに、と思っていたので、期末試験が終了したあとの週末は空けておけ、と先月のうちに伝えてあった。
 彼のことだからすっかり忘れているかな?と思ったら、タカコさんによると、彼はカレンダーにちゃんと「ダイビングする」って書き込んでいたらしい。

 そうして迎えた週末。
 すでに冬の北風が何度か吹き荒れている季節である。予定していたからといって、ダイビングできるような海況になるかどうかというアテはまったくなかった。
 にもかかわらず、なんと素晴らしい陽気、抜群のコンディション!!

 これだけでも、彼が海神様に愛されていることがわかる。
 しかも!!
 彼は過去に何度か船で素潜りに連れて行っているし、昨年は体験ダイビングも経験させた。それもあって実技講習はスムーズに進み、2日で都合4本潜った。そのうちビーチで潜った最初の1本を除く3本のダイビングはそれぞれ別の場所だったのだが、なんと彼は毎回ウミガメを目にしたのである!!最後の1本では、同時に2匹も!!

 3本連続、都合4匹のアオウミガメと遭遇した男、リョウ。
 これを海神様に愛されていると言わずになんと言う。

 そのうえ彼は、僕がスレートに「アオウミガメ」と書き記す前から、そのウミガメがアオウミガメであることを認識していたのだからすごい。2度目の際は、じゃああれは何ウミガメ?と尋ねたら、迷うことなく「アオウミガメ」と答える彼。

 これはひとえに、美ら海水族館と海洋博公演が催すウミガメ放流イベントに、毎年毎年水納小中学校が参加しているおかげであろう。おまけに今年は総合学習で妹のアカネがウミガメを研究しているから、彼のウミガメに関する知識は、そのへんのヘナチョコクロワッサンゲストとは比べ物にならないのである。
 水納中学校のHave to事項は、けっして無駄ではなかったのだ。

 講習中にもかかわらず、たてつづけにカメを目撃したリョウの実技は、いたって順調に進んだ。あれほどのドライブを打てるのだから、彼にとって体で覚えることはお茶の子さいさいなのだ。

 が。
 少年に立ちはだかる高い壁が。
 水中での音は空気中の4倍の速さで伝わるとか、水は空気の約25倍の速さで熱を伝えるとか、酸素は空気中に約21パーセント存在する、といった数字を覚えるのは、彼はとても得意としている。
 ところが、レギュレーターを手にとり、このキャップはなんといいますか?とダストキャップを指差して問うたり、セカンドステージを手にし、真ん中の丸いボタンはなんといいますか?と問うことを毎回のダイビングのたびに繰り返しても、彼は途端に機能停止に陥ってしまうのである。
 そのくせ、ちゃんと調べてこいといったその日の潮汐の時刻は分単位で覚えているのだから面白い。

 実技を先に終わらせてから学科講習を、ということにしたため、今週の彼はアフター5を使って、地道に学科講習を受けている。
 予定どおりいけば、次の週末にいよいよテスト。
 まぁテストといっても大してムツカシイ問題はないものの、おそらく今突然問うと、パージボタンという言葉が出てこないであろうリョウの道のりは険しい。

 はたして学科テストでも海神様は微笑んでくれるか?
 乞うご期待!! 


一足早く、高校合格祝い♪
撮影:オタマサ