「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

2011年 5月9日(月) 晴れ時々雨

南東の風 波あり 水温22度

 すっかり「台風前のお天気」になった。
 数日前の週間天気予報では、GWが終わった途端に晴れマークのオンパレードだったのが、台風のおかげで(?)梅雨らしいマークが並ぶようになっている。

 長続きする雨はイヤだけど、GWが終わった途端に手の平を返したようにお日様が輝く…ってのもヤな感じだから、まぁこれでいいのかも。

 が。
 本島付近に達する頃には勢力減退して熱帯低気圧になっていると思われる仮面ライダー1号でも、なんだか進路予想的には本島の真上を通って行きそうな按配だから、ボーッとしているわけにはいかない。

 船を渡久地に避難させなくちゃ。
 あー、めんどくさい………。

 さて、この日午前中は、台風前の最後の「いいお天気」だったので、思い残すことがないよう潜ってきた。
 目的は、コブシメの産卵。
 昨日紹介したO野さんのブログでも触れられていたとおり、GW中に目にすることができたこのコブシメの産卵。
 O野さんが激写されていたときは、僕もフリーでムービーが撮れるコンデジを持っていたというのに、ムービー撮るならここしかないでしょう!という肝心要のときにバッテリー終了。

 バッテリー残量的に覚悟のことだったとはいえ、目の前で繰り広げられる様子を目にしてしまうと、海中で空振り地団太を踏んでしまう。

 なので、2日後にあたる今日もまた、しっかり充電を済ませたバッテリーを装備して再トライ。
 はたしてコブシメは………

 いた♪


産卵態勢に入っているメスは、
しばらくホバリングのまま上空待機。

  
   
準備が整うと、ソロリソロリと下降を始め……

    
     
お目当てのサンゴを目指す。

      
        
そしてサンゴの枝の合間の奥に腕を伸ばして……


そこに卵を産みつける。 ●●●●●●●●●●


一粒一粒産むごとに再び上空に戻っては、
ハフー、ハフーと熱い吐息を吐き出すコブシメ母ちゃん。
※以上、ムービーのキャプチャー画像。

 これが延々繰り返されるうちに、サンゴの枝間はコブシメの卵だらけになっていく。


枝の奥の白いのが卵。(2009年4月撮影)

 残念ながら今回はオスとメスがブチュッとやる交接は見られなかったものの、一昨日の地団太解消♪

 コブシメの産卵は、例年だったら冬にピークを迎える。
 ところが今年は、春先になってやたらと産卵している、と機関長が言っていた。
 なので、例年だったらGWくらいが最終盤のはずの産卵も、ひょっとするとこの先しばらく続くかもしれない。
 でも、水温もついに22度で安定してきたとなると、やはり産卵シーズンは終了かな??

 やがてひと月もすれば、卵の中には……


2009年6月14日撮影。
もちろんヤラセです。良い子は真似してはいけません。

 イカベビー♪

 毎年冬になると、船長、機関長、そしてリョウセイさんといった島のハンターたちに命を狙われるコブシメたち。
 放っておいても1、2年で寿命が尽きる彼らは、そんな災厄に負けることなく、連綿と続く生命の糸を、毎年毎年紡ぎ続けるのであった。