「徒然海月日記」から海の話が含まれている日記のみ抜粋したバックナンバーです

番外編
シオマネキ日記・2

2011年 7月19日(火) 晴れ

西の風 荒れ模様 

 あのあたりまで進んだ台風が、依然時速15キロのスピードだなんて……。

 本土の太平洋沿岸のみなさん、その遅さがオキナワの台風のスタンダードですから。

 といいつつ、台風が去っていったはずの沖縄も、通過中だった昨日よりよほど風が強い。
 おかげで、本来だったら朝から雄々しく連絡船が復活していたところ、今日も完全復旧ならず、1往復半という不規則運航に。
 週末島から出ていた先生方を島に戻すためだけの運航だ。

 結局丸3日間お客さんが島に来なかった。
 ハッピーマンデーの3連休って、いったいなんなんだろう……。

 前々から言っているように、人工的(?)に作られたこのハッピーマンデー方式3連休ほどやっかいなものはない。
 そりゃもちろん、多くの方がその連休に合わせて旅行することになり、観光地としては大いに潤う。

 でも、なまじそこに人手が集中してしまうと、今回のように台風で吹き飛ばされてしまったら元も子もない。

 それだったら元々連休など設けず、お客さんの予定が分散しているほうがよっぽど我々としてはありがたい。

 また、3連休だからどこかに行こうかなぁ……という程度の思いの方がテキトーに来ることによって混雑してしまうよりも、忙しいなかなんとか休暇を取り、自分が行きたいと思っていたところに来てくださるお客さんでそこそこ賑わうほうが、現地としてはとても健やかでいられるのだ。

 大人のリゾートとは本来そういうところでしょう?

 ま、薄利多売商売の方々とは意見がまったく異なるところではございますが……。

 さてさて、そういうわけで今日も健康的にヒマだったので、午前中に一仕事終え、午後は強い西風が吹いて涼しい干潟を再訪してみた。

 今回は、泥が付いても大丈夫なように、すでに使わなくなった旧105ミリマクロレンズを装着して臨んでみた。

 泥で汚れる覚悟を決めて、カニさんたちの巣穴のあたりで寝そべってみると、やがてヒョコヒョコヒョコ……とカニさんたちが顔を出してくる。

 彼らの敵といえば、通常は鳥たちだ。
 見つかった!と思った瞬間には捕食されているという、厳しい厳しいサバイバル生活を日々送り続けている。
 だから彼らの危機管理能力は高く、周囲に自分より大きな動くものを察知すると、たちまち巣穴に引っ込んでいく。その速さたるや、チューンナップされたMS−06Sに匹敵するといっても過言ではない。

 でも潮が引いている時間帯というのは、彼らにとっては待ちに待ったお食事タイムなわけで、

 危険ぽい??

 とは思いつつも、

 …大丈夫かな??

 と期待する気持ちも強い。
 だから、僕がカメラを構えて待つ巣穴の入り口付近で、出ようか引っ込もうか、逡巡する彼らの姿が見られる。


出入口で逡巡中

 そうやって逡巡しているルリマダラシオマネキをレンズ越しに眺めていると、ある発見をしてしまった。

 彼らの目には毛が生えている!!

 ……だからどうなのよ、って言わないでね。
 そうやって寝そべっていると、僕の周囲にはいつの間にかシオマネキたちがゾワゾワゾワ…と顔を出している。
 巣作りに励むもの、お食事中のもの、誰を相手にしているのか不明ながら、鋏を振り上げたままのポーズを決めているものなど様々で、カニさんたちにも立派な社会が築かれているらしい。


横綱土俵入りのようなポーズでずっと固まっていたオス。


食事中のメス(メスには大きな鋏はない)。


これくらいの密度で見られる。

 そして。
 そんなカニさんたちのなかには、白昼堂々とエッチしているカップルもいた。


エビ・カニたちは基本的に正常位

 メスの巣穴の入り口にて。
 隣同士で巣穴を構えているこのカップルの絆は相当固いようで、周りには横恋慕しているらしきオスがいるにもかかわらず、メスはまったく無関心。

 二人のために世界はあるの

 といわんばかりのアツアツぶりだった。

 ……って、いい大人が昼間から泥の上に寝転んで、カニさんだなんだと何をしておるのだ。

 と言われそうだけど、こういうことはお客さんが誰一人島にいないこういう時にこそ、なんだから。

 ちなみに、泥の上に寝転ぶと、一部の巣穴の上に寝転ぶことになってしまう(周囲のカニさんたちに、脚をチクチクいじくられる)。
 しかしこればっかりは、中性浮力をとれないのだから仕方がないのであった。