水納島の向こうに夕日が沈む……。
　でもなかなか観光客のみなさんはそんなシーンを連絡船から見ることはできない。

　というのも、いくら夏場は最終便が５時４５分発であろうとも、日はまだまだ高いから、夕陽がこういう色になってくれない。
　春は春で日が長いから、５時過ぎはもっと明るい。

　こういうシーンに巡り合う事ができるのは、ちょうど今くらいの季節（撮影時は１１月２２日）だけなのである。

　そうはいってもこの季節に最終便で島に渡る人ってのは島民くらいなので、観光客のみなさんはなかなか見る機会はない………というわけ。

　でももし観光客のみなさんが観ることができたとしたら。
　これから行く先の風景がこうだったら、旅情はいやがうえにも盛り上がることだろう。もう１３年住んでいて、何度となく観ている僕ですら、いまだに興奮してしまう風景の一つであるくらいなんだから……。