Maybe・21
聖 地?

 リュウキュウマツ(琉球松)は、ご存知のとおり沖縄県の木、県木である。
 その昔は今よりもたくさんの松が県内各所で立派に枝を張らせていたらしいのだが、離島に行くと「○○の松」という具合に地域で保存されているものがあるものの、開発やマツクイムシの被害等により、近頃ではその風情はわずかにしか残されていない。

 そんななかにあって、この「本部平松」と一部で呼ばれている伊豆味ライン沿いの松は、なかなかに立派である。
 古式ゆかしく横に大きく張り出した枝は、最近では下から支えが必要なほどまでに伸張している。一時期マツクイムシによると思われる被害が出ていたけれど、その部分をバッサリ切り落とし、なんとか被害を食い止めるのに成功したようだ。

 松は、維持しようと思えば何かと手がかかるのである。

 それを知っているのかいないのか、2000年の沖縄サミットに合わせ、国道の街路樹を大々的に植え替えていた頃、恩納村のとある一画では街路樹に松を選定していた。

 こんなに植えてもすぐ枯れるんじゃないの……?

 誰もがそう思っていたとおり、植えられた松はすぐに枯れた。
 さすがに懲りて、もっと強い種類の木を植えるのかと思いきや、再び琉球松が……。
 いくら県木だからって、植えるだけで特に維持に熱を入れるわけでもなし、すぐに枯れるものをなぜにそうまでして植え続ける??

 造園業者と癒着しているからに違いない。
 すぐに枯れる松に税金が湯水のように使われていたのである。そのあたり、どこかの市民団体にもう少し突っ込んでいただきたい。

 が。
 ここでの主題は実は松ではないのだった。
 タイトルにある「聖地」とはいかなる意味か。

 それは!!
 この本部平松の背後にある建物こそが、あの銘酒「かねやま」のふるさと、山川酒造なのだ!!

 泡盛古酒にこの酒あり!と県内外で謳われているかねやま、一世を風靡した30年ものはついに売りきれ、現在は40年ものが臨戦態勢なのだという。

 戦禍でそれまでの酒蔵が壊滅的被害に遭った沖縄では、古酒自体が一時期は絶滅危惧種(酒?)だったのだが、そんな時代からあきらめることなくじっくり満を持し続けて40年、いわば県民の誇りといってもいい古酒がこの「かねやま」なのである。

 全国の泡盛愛好家がその存在を知らないはずはない。
 かつて横浜の酒屋にお邪魔して驚いた。全国の銘酒が綺羅星のごとく並ぶ商品棚の一画に、まさにこの角度から撮ったと思われる山川酒造の写真がデカデカと飾られていたのだ。

 普段何気なく通り過ぎているこの地は、全国の泡盛愛好家が死ぬまでに一度は巡礼しなければならない聖地なのであった。

敷地内にはショップもあるので「かねやま」ももちろん購入可です。

オススメ時間帯
いつでもよし(笑)。
松を綺麗に撮りたければ午後、斜陽になった頃がいいかも。