Maybe・4
石くびりからの眺め

 

 沖縄民謡を少し知ると、カラオケボックスには月刊少年ジャンプよりも分厚い民謡だけの選曲集があることを知る。
 たとえそれほど分厚くなくとも、その中に必ず入っている曲のひとつが「石くびり」だ。
 たいていの民謡がそうであるように、男女の恋を歌っている。
 「石くびり」とは小石の坂道のことだそうで、本来固有名詞ではないのだろう。でもこの民謡のおかげで、本部町内の石くびりはれっきとした固有名詞になっている(この名を冠したそば屋さんもある)。
 当然、民謡「石くびり」のカラオケの映像のロケ地にも使われている。
 その映像を見ると、なにやら無限に続く石段があるかのように見えるのだが、そこはそれ、久米島の畳石と同じである。
 実際はこんなものだ。

 これ以前にもこの先にも石段はない。
 思いを込めて踏みしめなければ、単なる短い階段でしかないのだった。

 ただし。
 この坂道を上った先にある展望台からの眺めはなかなかのものだ。
 本部町の中心地、つまり役場がある辺りを一望できるのである。そして、本部町がいかに小さな町であるかを実感することができる。
 そのむこうには本部大橋、そしてかすかに水納島。
 こんな景色を見られる場所があったとは………。
 石くびりもなかなか侮れない。

オススメ時間帯
写真は曇り空のときだったけど、
晴れていれば午前中のほうが順光で町を見られるので、
お昼前に眺めたいところ。