2・装備拡充作戦

 いささか取り返しのつかないことをしてしまった感があったものの、今さら無理ですとも言えない。
 かくなるうえは、

 料理写真とは?

 を、イチから勉強するしかない。
 おお、そういえば、うちの奥さんが駄文を連載している養殖業界誌アクアネットに、魚料理を美味しそうに撮る方法のような連載がかつて載ってたっけ!

 さっそくバックナンバーを………

 ………昨年、被災したおりに水没していたのだった(涙)。

 こんなとき近所にジュンク堂があれば、テケテケ歩いていってカメラ関係のコーナーで立ち読みしまくる、という手もあるのだろうけれど、そんなものが名護以北にあるわけはない。
 結局、ネットだ限られた本だでザーッと調べてみたところ、料理写真にはまず、基本中の基本ともいうべきライティングがあることがわかった。

 左斜め上奥からのライティング。

 作例を見てみると、たしかにそれだけで、コンデジでパシャッと撮りましたという写真とは一味くらいは違ってくる。
 それプラス様々な手法があるのはもちろんながら、選り取りみどりの機材を今さら揃えられるわけではない状況では、とにかくこの基本に頼る以外に道はない。
 まだジャブしか覚えていない矢吹丈である。

 しかし、その基本に則るためにはいくつかモンダイが。

 一口に左斜め奥からのライティングといっても、それなりの光量のあるタングステンライトなんぞを今さら買い求められるはずはなし、頼るべき光源はストロボしかない。

 そのストロボが………。
 今のデジイチにはストロボ内蔵が当たり前で、普段陸上ではコンデジ気分でしか撮ってない僕が、外付けのストロボを用意しているはずはない。

 でも……!!
 以前使っていたニコンのストロボが使えるかも!!

 銀塩写真用カメラ時代に使っていた、バウンス機能がついた比較的大光量のニコン純正ストロボである。

 もちろんデジイチの性能に合わせたTTLが機能するはずはないものの、同調さえしてくれればマニュアルで使える。

 というわけで、実に13年ぶりくらいに取り出しましたるニコンのストロボ、はたして生きているんでしょうか………

 生きてたッ!!

 これを……このストロボを、カメラ本体から離れたところで光らせるには。

 カメラにホットシューを取り付け、シンクロコードでストロボと繋ぎ、三脚に載せたカメラのシャッターは、レリーズで……

 これらの機材を早速取り揃えた。
 その昔たびたび利用していた池袋のビックカメラだったら、ちょっと出向けばたちまちなんでも揃えられたというのに、デジカメ全盛のいまどきの郊外のキタムラでは、このようなアクセサリーグッズなんてものは、ヤンバルクイナよりも早くに絶滅してしまっている。

 そんなときに便利なアマゾンさん。
 きっとIMFの面々も、窓ガラスをよじ登れる手袋や、まばたきするだけで撮影できるコンタクトレンズなど、困ったときは
Amazon.comを利用しているに違いない。

 さらに必要なものがあった。
 光をうまいぐあいに拡散させるためのアイテムだ。
 もちろん製品として撮影用のいろんな機材があるけれど、そんなものに投資している余裕はない。

 そこで、まずは即席ディヒューザーになってもらったのがこれ。

 名付けてディヒューザーどんべえ。
 このために、滅多に食べないインスタントを買ってきた次第。
 これ以上に安く作れる方法を僕は知らない。

 また、同じ用途で乳白色のアクリル板も。
 本当は100センチ余くらいの大きなもので、被写体をグルリと円形に囲ってしまいたいところだったのだが、さすがにそんなものを持っていけそうにないので、3分割サイズにしてみた。

 いきなりぶっつけ本番はありえないから、それやこれやの機材を駆使しつつ、食事時に試行錯誤をしてみたうちのいくつかがこれ。

 

 アヒルそばと

 

 山原島豚の味噌漬け肉。

 いかがでしょう?一味違って見えますかね??
 この時点で、もうほぼテスト撮影完了状態で、あとは本番を待つばかりだった。

 ところが……
 大問題出来!!