22・新石垣空港

 カレーを食べて肝臓をいたわりつつ、エビフライを食べて胃にトドメをさしてしまい、効果プラマイゼロで終えたお昼ご飯。

 なんのためのカレーだったんだ………。

 気を取り直し、ある店に寄った。

 これ、幹線道路の県道79号線沿いに、唐突にポツンとある、「みるくくらうん」という名のアイスクリーム屋さん。
 行きがけに目にしたうちの奥さんが、とっても気になっていたのだ。

 それにしても、石垣島もこのあたりまで来ると、次の「何か」まで相当何もない地域ですぜ。
 街中ならいざ知らず、ドライブ中に「なんだろう??」と目には留まっても、まず間違いなく知らないヒトは通過していくこと必至といっていい。

 たとえて言うなら、今帰仁村あたりのさとうきび畑の傍らに、唐突に置かれてある野ざらし状態のジュースの自販機、みたいな……。

 にもかかわらずこうして店舗が成り立っているのは、もちろん……

 激ウマ!!

 だから。
 背後の牧場主が、とれとれの牛乳で作っているだけあって、ソフトクリームといいアイスクリームといい、コクがあってキレもある、タダモノではない乳製品だった。

 北部までお越しのみなさん、是非お立ち寄りくださいませ。

 このあと、昨年連れてきてもらったさだおばぁの店に、再び寄らせてもらった。
 油味噌が激ウマだったから、是非お土産にしようと。

 で、店内で買い物をしていると、外でツムグやニシドマリが騒いでいる。
 なになに??

 「ハブがいるぅー!!」

 え?
 またまたぁー、どうせ紐かホースが転がってるんでしょ。

 高をくくりながら行ってみると………

 おお!!ホントにハブッ!!

 さすが無敵少年ツムグ………って、手にしているのはもちろんハブの死体ですけどね。

 水納島にいるハブとは違って、サキシマハブは毒性が弱いから、生死にかかわる問題はない。
 とはいえ、こうしてフツーに集落内で目にできるほどにいるんですなぁ……。

 このあと、ドライブついでに新石垣空港を見に行った。
 白保に造るの造らないのでさんざん騒動になったのも今は昔、カラ岳の麓に場所が決まってからは、着実に作業は進捗し、ついに来年春の開港が決まっている。

 いよいよ大詰めを迎えつつある空港建設は、現在こんな具合になっていた。

 ここまできたら、さすがにもう反対の賛成のという段階ではないわなぁ……。

 それにしても、何も事情を知らない僕たちからすると、なんで現空港を伸張しないの??と昔から不思議で不思議でしょうがない。
 現空港の滑走路の先には、なにやら不可侵の遺跡だかなんだかがあるから…という理由をさんざん耳にするものの、何度聞いても素直に納得できないのだ。

 その理由と、この素晴らしい景観の地にでっかい空港を造るってことを天秤にかけて、なぜそっちの理由が優先されるのかがわからない。

 八重山の伊勢神宮みたいなものでもあるのでしょうか?

 それよりもなによりも現実的に多くの方が困るのが、新空港は離島桟橋から遠くなるってことだ。
 島北部に住まう人々からすると近くなる空港も、市街地や周辺離島のみなさんからすれば、空港は遠くなってしまうのである。

 レンタカー屋さんも事務所をこっちに移転させるのだろうか…と余計なお世話的心配をしていたところ、帰りにレンタカー屋さんが教えてくれたことには、事務所を移転する予定はないとのこと。
 市街地からかなり立派な道が空港と繋がるので、現在よりも時間的距離は短くなるのだそうだ。

 ただひとつ問題が。
 その道は、石垣島始まって以来の片側2車線道路だそうな。
 レンタカー屋さんがいう。

 「島のヒト、ちゃんと車を走らせられるかどうか、心配です………」

 復帰後、右側通行から左側通行へと変わった頃以来の交通パニックが待っているかもしれない………。

 その他この先いろいろやっかいな問題はあるだろうけれど、この新しい空港が、これから世の中を生きていくことになるこの子供たちにとって、未来に光差す存在になってくれることを願わずにはいられない。