Cバイリンガール(3月2日・3日)

 翌朝、埼玉に帰省しているときには欠かせないお墓参りへ。
 前回散歩がてら歩いてきたこの霊園への道のりが楽しかったこともあって、今回も歩いてお墓まで行こうと思っていた。ところが、その前にちょこっと近所のスーパーまで買出しに行ったら、あまりの寒さに恐れおののいてしまった。
 結局父ちゃんのマークUを借りて車で。

 ひとたび車に乗ると、これがやけに楽しい。
 沖縄にいると、ドライブといったっていつも走りなれた道ばかりで、通ったことが無い道を探すのさえ難しいくらいだから、窓外の新鮮な風景がやけに楽しい。

 ドライブしよう!!

 お墓参りの後はそういうことになってしまった。
 はてさて、どこへ行くか。
 寒風吹きすさぶとはいえ、お日様は出ている。お天気のいい日にはどこがいいだろう?

 というわけで、やってきました越生の梅林。
 越生の梅林といえば、関東の三大梅どころの一つだそうで、その勇名は僕が埼玉に住んでいたころから聞き知ってはいたものの、これまで一度として足を運んだことがなかった。
 それどころか、埼玉で生まれ育ったうち奥さんですら、一度として来たことがないという。
 今は梅の季節。
 季節的にソメイヨシノの花見はできない我々だから、せめて梅見をしておこうという次第。

 ほぼ一本道を北上すると到着した越生町、周辺からすでに梅林だらけ。このあたりだけでも充分堪能できるほどだ。
 で、越生梅林に到着。
 これまでずっと勝手に想像してきた詩的なイメージとはちょっと違い、お祭りのように露店がひしめく賑やかな場所だった。

 それにしても………

 見渡す限り梅だらけ!!

 さすが関東に越生梅林ありと言われるだけある。
 賑やかな露店が集まる一画があるかと思えば、まるで花見のように木の下でお弁当を食べたりすることができるところもあって、平日のうららかなお昼時の梅林は、リタイア悠々自適組のみなさんが心地よさそうに散策していた。

 集まっている露店にはいろいろあったけど、地元の婦人部とか青年部とかおばあ連といった方々がそれぞれ頑張っていて、地域をあげてのイベントであることがうかがえる。そりゃ、年にこのシーズンだけのフィーバーなのだから、みんな頑張るのも当然か。

 地元の農作物も売られていて、先ごろアッシー君の美味しい美味しいネギをいただいてから長ネギにはまっていたうちの奥さんは、他の魅惑の品々ともどもすぐさま購入していた。

 梅を売っているところもいくつかあった。

 小さな鉢植えがもっぱらで、株で売られているものは脇のほうで寂しげに立っていた。そりゃそうだ、梅の木一本ここで買って帰って植えましょう、なんて余った土地を持つ家庭がそうそうあるはずが無い。

 ん??

 その余った土地があるじゃないか!!

 というわけで、枝垂れ梅を迷わず一株購入。
 え?どこに植えるのかって??
 そりゃ、決まってるじゃないですか!

 もちろんてっちゃんグランド。
 この日創立記念日で学校がお休みだった姪っ子とともに、記念植樹〜〜。<桃の節句なのに……。

 場所については管理人にお任せしたところ、ここにもともと植わっていた柘榴を移植し、そこに梅を植えようということになった。
 そのため、梅を植えるだけだったはずの作業は、予想を遥かに超えるものとなってしまったのだった……。

 えー、ここにお立ち寄りの皆さん、ここでスクスク育つであろう枝垂れ梅をよろしく♪

 家のすぐ近くにあるというのに、なかなかグランドには訪れることがないという姪っ子に、以後の梅の世話を頼んでおいた。
 この先梅が一本、また一本と増えていけば………

 これがホントのバイリンガール♪

 さて、明日はついにここを離れ、都内へ行くことになる。
 実家での最後の晩だから、ゆっくり過ごしていたときだった。

 またウロコムシ氏から電話が……。

 うーむ、おっさん、どこまでつきまとってくるのだ。
 いったい何用だろうかと思ったら、

 「明日チャーシュー麺食べに行かない??」

 はぁ??
 聞けば、なにやらまた僕に是非食べさせたい秘蔵の店が八王子にあるという。
 でも、明日って平日なんですけど、ウロコムシさんは大丈夫なんですか??

 「大丈夫にしたんです!!」

 …って、そんな力入れなくても。

 というわけで、翌日の我々は、八王子までラーメンを食べに行くことになったのだった……。