2・サラリーマンの聖地へ

 我々が今回滞在する宿は銀座2丁目にある、ホテルモントレ銀座。

 なので、最寄のJRの駅は有楽町だ。
 地下鉄なら銀座一丁目駅がすぐ目の前ながら、知らぬ間にあらぬ方向に行ってしまう恐れがあるので、有楽町駅から歩いていくことにした。

 通勤客で混み合う時間ではなかったおかげで、大きな荷物を引きずりながらも特に困ることなく有楽町駅に到着。
 あとはここから、柳通りをまっすぐ行けばほどなくホテルだ。

 昨オフの仙台行では、仙台駅に到着後のホテルまでのルートをまったく把握しないまま駅に着いてしまい、右も左もワカランヌーになってしまったので、その反省を踏まえ、今回の僕はいつぞやのイタリア行の時なみに事前調査に力を入れていた(まさか今宵それがいきなり役に立とうとは…)。

 だから駅から1ミリも迷うことなく、午後5時前に無事ホテルに到着。


撮影したのは後日の日中。

 いやあ、似合いませんな。
 しかしまぁ、我々が銀座のホテルに泊まる日が生きているうちに来ようとは…。

 さっそくながら今夕約束があった。
 夕方6時に新橋方面で待ち合わせしているのだ。
 このホテルから新橋駅までだいたい20分くらいかなとふんでいたけれど、道に迷うことを踏まえれば到着早々ながら早めにホテルを出たほうがよさそうだ。

 で、さっそく出発しよう……

 ……というときに、部屋の電話が鳴った。

 はて、誰から??

 なんと隊長から!!

 そう、新橋で待ち合わせているヒトの一人が、ほかでもないごっくん隊H田隊長そのヒトなのである。

 だからてっきり新橋でお会いするものとばかり思っていたら、

 「せっかくだから一緒に行きましょう!」

 実は、隊長もまた我々と同じホテルに泊まっているのである。
 当日何かあったら携帯電話へお掛けくださいと伝えておきながら、飛行機に乗る前から携帯の電源を切ったままにしていたため、やむなく部屋の電話にかけてくださったのだった。

 これで道に迷う心配が無くなった我々は、5時半にロビーにて隊長と待ち合わせをした。

 そしてそこには……

 隊長オクサマも登場♪

 島にご滞在中は「花咲か爺さんハートマーク版」的にシアワセのおすそわけをそこらじゅうに惜しげもなくばら撒き続けているお二人、それは銀座にいても同様だった。

 なんか、お二人を見ているだけでこっちまでシアワセになっちゃうでしょ?

 隊長オクサマは、ここで隊長と我々を見送ってくださる。

 <え?なんで隊長オクサマはご一緒じゃないの??

 それはもちろん、翌日に控えるメインイベントのため。
 でも隊長も同様にメインイベントを控えているはずなのに、我々と一緒に飲んでて大丈夫なんでしょうか。

 というか、シアワセなお二人を今宵無理無理引き裂くような罪悪感があるのは気のせいでしょうか……。

 当初は隊長もこの前日はある程度(?)自重する予定だったのだけど、そこはそれ、太陽系第5惑星なみの引力を誇るお方が、新橋方面で巨大質量を解き放ち続けている。
 かの不沈宇宙戦艦でさえ引きずりこまれた木星の大引力に、全身全霊無防備状態の隊長が抗えようはずはなかった。
 …というか、むしろ自ら突き進んでいく??

 このメインイベント直前の大事な夜に、はたして隊長は不沈宇宙戦艦のように木星の重力圏から離脱することができるのだろうか。

 メインイベントを翌日に控えているからだろう、まるで石垣マラソン前日の焼肉山本で飲んでいたときのようにどことなくぎこちない隊長案内のもと、昭和通りを通って新橋汐留口方面へ。

 汐留といえば高層ビル群である。
 田舎から出てきた我々にとって、同じ国の景色とはとても思えないワンダーランドである。
 どのビルひとつとっても、そのワンフロアの人口が水納島全島民を遥かに凌いでいるのは間違いない。

 そんな高層ビル群のひとつ、汐留シティセンタービルが待ち合わせ場所だ。
 そして待つことしばし。
 すると、日本経済を支えるサラリーマンたちの颯爽たる一団のなかから、あのヒトがついに登場!!

 ほかでもない、ごっくん隊リーダーT沢さんだ。

 <で、ごっくん隊ってのはそもそも何よ?

 そういうアナタはこちらを参照されたし。

 旅行初日にして、ついに最強酒飲み部隊が揃ってしまった。
 それはまるで、我々にとっての死のロード「お盆商戦」が始まる初日が、ごっくん隊ご滞在最終日=大宴会日になっているかのごとき、考えうるかぎりにおいて最も危険なシチュエーションだ。

 君は生き延びることができるか?

 といいつつ、かねてから新橋をナワバリとしているリーダーに、我々はあるツアーをリクエストしていた。

 すなわち、サラリーマンのサラリーマンによるサラリーマンのためのごっくんツアー!!

 新橋といえばサラリーマンの聖地。
 駅近辺を中心に綺羅星のごとく集う魅惑のお店の案内人として、リーダーほど最適なヒトを我々はほかに知らない。

 というわけで、今宵は新橋でメインイベントの前夜祭〜〜〜!!

 高層ビル群の地下街に潜む魅惑の飲み屋街を歩きつつ、案内していただいた一軒目は、こちら。

 立ち飲み屋のとんかつ まるや。

 立ち飲み!
 揚げ物!!
 これぞサラリーマンの正しい夕べ!!

 飲み終えた後に撮った上の写真ではすでに行列ができているけれど、我々が到着したのはまだ6時過ぎと早かったせいか、並ぶことなくスペースを確保できた。

 さっそく生ビールを頼み、再会を祝しつつ前夜祭に乾杯。

 翌日もノープレッシャーの右の二人に比べ、依然どことなくぎこちない隊長。
 やはりここ一番のメインイベントが翌日に控えているため、理性の回路がちゃんと働いておられるようだ。

 ところでこの「まるや」、2坪ほどの店舗の立ち飲みのとんかつというからB級テイストチックな揚げ物かと思いきや、最初にオーダーしたロースカツにいきなり衝撃的にビックリしてしまった。

 美味いッ!!

 この本格的サクサク感ときたらどうだ。
 完全無欠の揚げ物のはずなのに、沖縄でいただくとんかつと比べれば、油の存在がまったく意識のなかに入ってこない。

 鯵のフライも抜群だ。

 シアワセそうなリーダーの笑みの前で、今にも踊りだしそうなほどに活きのいい(?)アジフライ。

 レバーフライも負けてはいなかった。
 とにかく揚げ物が美味いッ!!

 それもそのはず、リーダーに伺ったところによると、このまるやさんというのはそもそもがとんかつ屋さんなのだそうな。
 なるほどたしかにその後この界隈を歩くと、チラホラととんかつ屋「まるや」さんの店が。

 とんかつにからしがついているあたりがいかにも東京って感じで、しかも立ち飲み屋さんにしてこのグレードの揚げ物とは………東京恐るべし。

 そんな魅惑のカツやフライを、ビッグサイズのメガハイボールで流し込む。

 た……隊長ッ!!笑顔がぎこちないですッ!!

 この時隊長の脳内では、「酒」内府率いる東軍と「理性」治部少輔率いる西軍が、決戦間近の関が原状態になっていたのだった。

 どこで飲んでも長っ尻になってしまう僕としては、このまま揚げ物の海で溺れ死んでもそれこそ本望というところながら、なんといっても今宵はサラリーマン天国満喫ごっくんツアーである。

 いざ、2軒目へ!!