25・マブヤー対のりだー

 Yさんたちがふくみみ家を去ったあと、ふくみみ・おーほりも野底小学校での環境教育関係の仕事のためしばしお出かけ。

 おうちには、我々夫婦と、ふくみみのりだーと、三男坊の乳飲み子モッコシ・もっくんと、猫数匹………。 

 アジアンな雰囲気漂うリビングで、まったりのんびり過ごす時間。
 若い頃には無限にあったはずのこういう時間を、大人になってすっかり失ってしまっている人たちはこの世にたくさんいるに違いない。
 そういう意味では………我々はシアワセだ。

 そんな空間で、一人マンガを読みふける我が妻マサエ。
 ふくみみのりだーおススメの「もやしもん」というマンガである。
 食品の発酵に関する超マニアックな内容で、それでいて面白いというこのマンガは、かつてさく菜やサトーちゃんがブログで絶賛していたくらいだから、相当面白いのは間違いない。

 が。

 10年ぶりに、それも彼らが石垣に引っ越してきてから初めてお邪魔しているというこういう機会に、学生時代、そしてかつての職場でさんざん可愛がっていた後輩と話すことなく、ただマンガに夢中になるってどういうことよ??

 まったくB型とはオソロシイ……。

 やがてふくみみ・おーほりが仕事を終えて戻ってくると、長男ユイマルも下校してきた。
 帰ってくるなりすぐさま友達のもとへ出かけていく姿は、まるで磯野カツオを観るようだった……。

 そうやって至福のだらだら時間を過ごしているうちに、そろそろ我々もYさん邸に戻る時間になった。
 ふくみみ・おーほりが送ってくれるのである。
 そのついでに、保育園に通っている次男ツムグを迎えに行きがてら、風光メイビーな場所をまわってくれた。
 このときはまったく石垣の地図が頭に入っていなかったのでわからなかったんだけど、実はかなり遠回りをして案内してくれていたのだ。

 ありがとう……。
 その景勝地とは、ここ。

 どこ?
 明石という集落を過ぎたあたりだったのは覚えているものの、この海が東側なのか西側なのか定かではない……。
 ともかく前ページの牧場は、この写真の左手側に続く。
 みんなでまた指差しているところを撮ろうとしたら、ツムグはそこらじゅうに転がる牛さんのウンチにご執心なのだった。

 このツムグ、前夜Yさんから琉神マブヤー(沖縄で大人気のヒーローもの)の人形をもらってからというもの、肌身離さずずっと大事にしているそうで、保育園にまで持って行った彼はこのときもずっと手にしていた。


僕は左右にいるクーバー1号・2号が好き……ハゴー!

 そんな彼に、マブヤーとツムグはどっちが強い??と帰りの車中で尋ねてみると、

 「……マブヤー」

 子供の現実認識はしっかりしているのだ。
 そんな彼の宝物であるマブヤー人形を、母ちゃんは彼がちょっと目を離した隙になにげにひょいと手にとるや、バックミラーにうまいことひっかけてツムグから見えないようにしてしまった。
 慌てて探し始めるツムグ。
 そこはそれ、優しい父ちゃんが、さりげなく指さして気づかせてあげた。

 母ちゃんの仕業と知り、怒るツムグ。

 「もぉー、イジワルするなぁー!!」

 後部座席で一部始終を見ていた僕は、それに応えた母の言葉を聞き、腹を抱えて笑いそうになってしまった。

 「これはイジワルじゃないの。オチャメっていうの」

 自分で言うか(笑)。
 オチャメな母ちゃんを持つ子供も大変だ。
 でもねぇ、ツムグ。
 君のお母さんは、昔はそのマブヤーよりも強い「のりだー」だったんだぞぉ!

 ふくみみ夫人のことを我々はなんで「のりだー」と呼んでいるのか。
 それは、かつて彼女が本当に「のりだー」だったからだ!!


怒るとコワ〜イ、かめ〜んのりだー!!写真提供:タコ主任

 88年12月の大学祭で公開された、タコ主任監督、琉球大学ダイビングクラブ配給の名作オリジナルビデオ映画「仮面のりだー」の主役である。

 さぁ、マブヤー対のりだー、勝つのはどっちだツムグ??

 まったくの余談ながら、そのときの悪役は、悪役史上最強といわれた(?)怪人ナマコ男!!


「ナマナマッ」と不気味な声で鳴くこのナマコ男の正体は?? 
写真提供:タコ主任

 ……この悲しげな表情を見てもわかるとおり、ノリのいい1年生ということで無理矢理引っ張り出されてしまった彼にとって、この「ナマコ男」は人生最大の汚点であるに違いない……。ねぇ、院長?<あ、言っちゃった!

 念のために言っておくけれど、ダイビングクラブの本来の活動と「仮面のりだー」とは、まったく何の関係もない。
 学生ってヒマだったんだなぁ…。

 さてさて。
 その後再びふくみみ家に寄って、キッズ&のりだーとお別れ。我々はふくみみ・おーほりにYさん邸まで送ってもらう。
 その際、すでに家に帰っていたユイマルがわざわざ挨拶をしにきてくれた。
 
10年前に水納島に来たときにはほんの赤ちゃんだったのに、今や小学4年生。すっかりお兄さんになってまぁ……。
 おそらく……いや、間違いなく、すでに母ちゃんよりしっかりしている。

 今回はまったく手ぶらで来てしまったこともあって、彼には後日のお土産を約束した(本人はどうやら信じていなかったらしい……)。
 ユイマルは今、ガンダムが好きなのだそうで、ガンプラ作りにはまっているという。聞けばケンプファーが好きなのだとか。
 ケンプファーといえば、僕が一年戦争もので唯一観たことがないオリジナルビデオシリーズ「ポケットの中の戦争」に出てくる青いモビルスーツである。
 なかなか好みがシブイ。
 そんなツウ好みの少年に、ガンプラをプレゼントしよう!!

 ケンプファーはすでに作ったというので、父ちゃんからこっそり彼が次に欲しがっているものを聞いた。
 これまたかなりシブイものを……

 さてそのシブイモビルスーツとは??
 これだ!!


撮影:ふくみみ・おーほり

 1/100スケール、マスターグレードシリーズのガンタンク!!
 ザビ家の御曹司ガルマ・ザビに「モビルスーツの出来そこない」とまで言わしめたほどのガンタンクが好きだなんて………シブすぎッ!!

 ガンタンクって、ただでさえ部品数が多くて大変なはずなのに、マスターグレードシリーズときたら、僕なんかは箱を開けただけで気が遠くなった。
 けれど彼は友だちと遊ぶ間も惜しみ、宿題をする間も惜しんで(?)、たった3日間で作りあげたのだそうだ。

 素晴らしいッ!!
 このグレードで作れるのなら、次はサザビーだ!<それって、あんたの好みでしょ?<ハイ…。

 なんか、こうやって見せてもらうと、25年ぶりにガンプラ作りたくなっちゃったなぁ………。
 買っちゃおうかなぁ………。

 ガンプラでお茶を濁すわけにはまったくいかないほどに、すっかりふくみみ一家にはお世話になってしまった。
 これをご覧のみなさん、石垣島にお越しの際は、是非ふくみみのエコツアーをご利用くださいね!!

 お世話になったと言えば。
 我々はこの日もまた、Yさん邸に泊まらせていただいたのである。
 ご夫妻とも都内にお住まいの頃には、水納島に何度もお越しいただいた。ヒサコさんはパーラー・ティーダのジュンコさんとすっかりお友だちで、今でも連絡を取り合っておられる仲だ。

 石垣島に引っ越してくれば、東京よりもよっぽど近くになったんだから、ジュンコさんともしょっちゅう会えるように……なるかというと、なかなかそうできないのがおもしろいところ。
 毎日やることがたくさんあると、それも楽しくできることがたくさんあると、気がつけば幾年月…ということが往々にしてある。

 …ということをけっして我々が無沙汰をしてしまった言い訳にするつもりはないものの、遅ればせながらの引越し祝いだ、新築祝いだ…などと言いながら遊びに来て、結局思いっきりお世話になってしまった。

 石垣に越して来てからヒサコさんは全然ダイビングをしていないそうで、

 「ダイビングは水納島でするよぉ!」

 と言ってくださる。せめてそうやってお越しいただかないと御礼のひとつも出来ないので、是非遊びに来てください。

 とりあえずその前にせめてものご恩返しにと、翌朝うちの奥さんと二人で「援農」をした。


菜園コーナーの一角。

 ……といっても、この穴はもともとYさんがセッセと掘り起こした穴。
 その脇をチョコチョコっと掘って、畑を耕すには邪魔な岩を大小4つほど掘り出したのだ。<たった4つかいッ!!

 いや、実際やってみるとたった4つでもけっこう難儀なんですぜ。
 まだまだ無尽蔵に眠っているそんな岩コロを、菜園の一層の充実を夢見ながら、来る日も来る日も掘り起こすYさんなのであった。