65・スペイン階段の怪人

 ああ、ついにローマを去る日の夜が明けてしまった。
 その最後の朝、ローマに怪人が現れた!!


頭の中で「オペラ座の怪人」の音楽を流してください…。

 マジ、コワい………。

 これ、実はこの日朝の散歩に出たら、道端に落ちていたお面。
 昨日で終わった祭りのあと、のようだ。

 材質は同じセルロイドのようだけど、やっぱお祭りで売られているお面も所変わると品変わるんですなぁ……。

 てゆーか、それ拾って被ってどうするのよ。

 前日の朝の散歩が気持ちよかったこともあって、ローマ最後の朝、うちの奥さんと散歩してみた。
 父ちゃんはもちろんお風呂タイム。

 朝6時過ぎのローマの街には、まだ街灯がともっている。

 不思議なことにこの街灯が、道からニョキッと建っているのではなくて、みんな建物から出ている。

 通りによっては、建物と建物の間に電線を張って、そこに街灯を設置してあるバージョンもあった。

 なるほど、こうすれば狭い歩道を広く使えるわけだよなぁ。
 街灯の電気代とかどうなっているのか知らないけど、こうやって公共の街灯を建物に取り付けるなんて、日本だったら建物のオーナーが嫌がりそうな気がする。どうだろ??

 昼間だとなかなか気づけない市内の細かい配慮に感心しつつ、この朝我々が目指したのはここ。

 スペイン階段♪
 夕方はあんなにたくさんいた人が、早朝は誰もいな〜い!!

 まさに貸切。
 ここで、あの人混みの中では絶対不可能でも、朝なら大丈夫なことをやってみよう!!
 というのは、これ。


ローマの休日より

 スペイン階段のオードリー様♪
 ジェラートを食べてこんなに絵になる人を僕は他に知らない。
 今ではこの近辺で飲食をするのは条例で禁止されているものの、とりあえず……… 

 で、やってみたのはよかったのだけど……。
 オードリー様が50年前に立っていたのは、オタマサがいるところよりもあと2つ下の段なのだった。


夢の共演??

 惜しいッ!!

 この階段の上にある教会は、トリニタ・デイ・モンティ教会。
 言われなければ気づかないんだけど、ローマにある教会では珍しく、聖人の名前がついていない教会。
 丘の上の三位一体って意味の名前でしかない。
 普通はほら、サンタ・マリアだ、サン・ピエトロだって具合に、たいてい聖人の名がついているでしょ。
 なんでだろうと思ったら、この教会はフランス王ルイ12世の肝煎りで造られたからだった。

 だったらなんでここがスペイン階段、スペイン広場なの??

 スペイン広場の前にスペイン大使館があったからなのだそうな。
 当初はこの階段の前の広場はフランス広場と呼ばれていたこともあったらしいんだけど、いつの間にかスペイン広場に統一。

 ま、渋谷のスペイン坂の名の由来よりは、よっぽど自然ではあるか…。

 このトリニタ・デイ・モンティ教会の階段を登ったところに、あの怪人がまたしても現れた!!

 …って、由緒正しい教会の前で、こんな仮面を被って遊んでいていいのでしょうか。

 ここで遊んでいる間に、スペイン階段は大変なことになっていた。

 高圧洗浄機による掃除が始まっていたのだ。
 たしかに、階段上には前夜の宴の跡が濃厚に残っていたものなぁ……。

 階段の下の広場にあるバルカッチャの噴水もこのとおり。

 午前7時前ですぜ。
 みなさん朝からご苦労様です……。

 心地良い散歩を終えてホテルに戻り、シアワセの屋上テラスにて最後の朝食。
 ここにずっといて、ときおり鐘の声を聞きながらカモメと戯れる怠惰な1日………ってのも実に魅力的だ。

 観光そっちのけで、そんな「余裕」の滞在もしてみたいなぁ……。