4・プレミアムホテル門司港
門司港駅に到着したはいいけれど、重い荷物をガラガラ引きずったままじゃおちおち散歩もしていられない。 空港から博多駅までまったくロスが無かったため、門司港駅到着は想定よりも1時間ほど早く、宿のチェックイン時刻までまだ随分時間がある。 でもまぁ、とりあえずフロントで荷物を預かってくれることだろう。 門司港では1泊の予定で、今宵世話になる宿は、駅から歩いて徒歩1分もかからない場所にある。 駅前でレトロな駅舎を激写しようとしたものの、逆光のために断念し、おとなしくその宿を目指す。 駅前の広場に立った時点で周囲の景色は門司港レトロ。そして冬だからか水の気配皆無の噴水広場から少し歩くと、目の前に関門海峡が見えてきた。 まあしかしそれにしても。 関門海峡、狭いということは昔から知ってはいたけど、実際に現地に立って目の当たりにすると、なんとまぁホントに狭い海峡だこと。 対岸の下関が、手が届きそうなほど間近に見える。 今宵の宿はもっと近かった。 なにしろ駅から徒歩1分だもの、駅を出て3歩も歩けばそこに見えているのだ。 我々が今宵泊まるホテルはこちら。
プレミアムホテル門司港。 1999年の開業当初から2013年までは「門司港ホテル」という名称だったそうな。その後いろいろあったのち、2016年から現在の状態になったらしい。 建物自体は創業当時からのもので、イタリアの巨匠の手によるデザインなのだとか(その巨匠の遺作だという)。 ホテル内のレストランがイタリアンだったり、ホテル内のバーや宴会場などの施設名にやたらとイタリア語が多いのは、そういう来歴に基づいているのだろう。 門司港のほとりに立つこのホテル、エントランス直近から見上げると全容はまったくわからないから、離れたところから見てみると…
レトロ押しの門司港地区が誇るホテルだけに、けっこうレトロに立派。 このホテル、イタリアンな巨匠のデザインは「サメ」をイメージしたという。 えーと……どこがサメ?? そのヒミツは反対側に隠されていた。 反対側から眺めてみると……
両サイドに展開している棟が胸ビレ、そしてグンとこちらに伸びるオレンジ色の客室棟がサメの顔&ボディ、上方に見える丸い窓が目なのだとか。 ちなみにホントのサメは↓こんな感じ。
ま、あくまでも巨匠のイメージですから、似てるか似てないかはこの際気にしてはいけない。 正面玄関が正面玄関であるとなかなかわからないフクザツな構造なのは、きっと巨匠の意匠なのだろう。 でもエントランスの階段に雛人形を飾るところまでは、巨匠も想像だにしていなかったに違ない。
ここが正面玄関のはずなんだけど、いきなり雛人形があるものだから別に入り口があるのかと彷徨いかけつつ、傍らの回廊の先にあるエレベーターでともかくフロントフロアに。 そこでチェックインできる時刻になるまで荷物を預かってもらえないだろうか、とうかがうと、 「もうお部屋の用意は整っていますから、チェックインしていただけますよ」 とのこと。 さすがプレミアム、たった15分前でも「チェックインは15時からですから!」と頑なに断固としてチェックインさせてくれない泊の船員会館とはひと味違う。 ところでこのホテル、エレベーターホールやフロントロビーも……
エレベーター内も……
…この模様。 さすがフェラーリの故郷イタリアの巨匠、床はチェッカーフラッグかぁ!! …と思いきや、内装は日本人のデザイナーの手によるらしい。 市松模様だったのね。 部屋は6階だ。 エレベーターを降りて廊下に出ると……
ありゃ? なんだかやたらと暗いんですけど、廊下。 まだチェックイン前のこの時刻、このフロアには他に客がいなかったらしい。 後刻戻ってくると……
ちゃんと廊下にも灯がともっていた。 廊下の奥の方、サメでいうなら吻端に近いところになる部屋に入ると……
例によって現在の我が家よりも広い!! ベッドはAPAホテルの3割増しサイズ。
テーブルの上にはアイスペールやグラスが並ぶ棚まである。
部屋についているコーヒーがドリップパックってだけで、我々からすると「おお…プレミアム」。 その他広々とした浴槽の浴室も含めた部屋の快適さもさることながら、なんといってもこちらのお部屋の素晴らしいところは、部屋から……
関門海峡が見える!! 海況を行き交う様々な船舶はもちろん、対岸をズームすれば……
有名な赤間神宮が真正面に。 そして右側、北の方角を眺めれば……
手前にブルーウィングもじ(という名の橋)、そして奥には関門橋が。 この関門海峡における人口構造物中、最も眺めてみたかったのが関門橋。 それが部屋から眺め放題だなんて!! せっかくだからズーム。
うーん、手前に停泊しているバージのような船舶さえなければ、アングル的に完璧なのに…。
なんなんだろう、このバージモドキ。邪魔なんですけど。 いやはや、それにしてもこの眺め。 門司港初訪問だから、もちろんあちこち散歩をしたい我々ではあるけれど、行き交う船舶といい晴れ渡る空といい青い海といい、この景色を前にすれば、このままずっと部屋から眺めつつ酒を飲んでいたい……なんて気にもなってくる。 ずっと眺めていたいのはやまやまながら、人生最初で最後かもしれない門司港で、しかもこの晴れ渡る陽気の下で部屋でジッとしているのもなんだから、ともかく旅装を解くのもそこそこに、すぐさま門司港散歩に繰り出した。 散歩についてはのちほど触れるとして、2時間ほど歩いて再び部屋に戻ってみると、部屋からの眺めは夕景に変わろうとしていた。
西に目を転ずれば、暮れなずむ港が……
ひとっ風呂浴びている間に……
門司港の夢は夜ひらく♪ ホント、部屋に居ながらにしてこの景色。 なにもわざわざあちこち散歩などしなくても、ここでこのまま飲んでいれば…… という甘い誘惑をふりほどき、我はゆく、心の命ずるままに。 < 心はここで飲んでたいって言ってるんですけど?
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