K山形へ

 北辰鮨でシアワセの満腹状態になった我々がこの仙台駅で乗るのは、この電車。

 仙山線の山形行き快速。
 この仙山線、雪国の峠を越える路線ということもあって、やたらと運行休止が多いのだとか。特に風に弱いそうで、やたらと寒波に襲われているこの冬のこと、そんな日に当たりませんように………

 …という祈りは天に通じた。
 仙台から山形駅まで、小一時間ほどの道中、その途中には、こんなところも、

 こういうところも通過する。

 ほんの少し前までなら知らないから完全スルーだったであろう場所なのに、すでに我々には懐かしい場所になっている。
 旅行って素敵だ。

 そんな車窓の景色も、国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。
 そんな雪景色を肴に、当然のごとく……

 かつて東北の地に初めてやってきたときは、見るものすべてが珍しく、電車の乗り降りのために乗客がいちいちボタンを押してドアを開閉するということに衝撃を受けたものだった。

 当時を思えば、そういう「経験値」は隔世の感がある。
 が。
 この光景はいささか新鮮だった。

 なんで乗務員が3人いるの??

 雪国だから運転士のとなりに副運転士が必要………なわけはなさそう。
 ひょっとして、JRもワーキングシェアの時代??

 このシーンもそれなりに新鮮だったけど、山形駅に着いて驚いたのがこれ。

 なんだか、どこでもドルを使えると思い込んでいる米軍属向けに、「YEN ONLY」と掲示している沖縄のお店みたいなにべのなさ。

 そのくせ山形駅発の新幹線つばさ号の車内には、

 便利なんだか不便なんだか…………。

 というか、山形駅でも使えるようにすればいいじゃん………って話は、そんなにムツカシイものなんですかね?

 それはともかく。
 僕の人生初の山形入りだ(うちの奥さんは、高校時代に月山登山の経験アリ)。
 岩手、宮城、福島と続き、ついに山形の地も踏んだ。

 山形駅に着くと、そこは雪。

 仙台と同じ緯度にもかかわらず、山のこっちとあっちでこんなにも景色は異なるのだ。

 この山形駅が目的の地………ではない。
 ここから、山交バスに揺られること小一時間、そこが今回のみちのく紀行第2目標地点だ。

 その場所とは……

 

 蔵王!!!

  

 <蔵王って………スキーでもするんですか??

 しません。

 <じゃあ、スノボー?

 しません。

 <じゃ、何すんの??

 それは…………