水納島の魚たち

スナゴチ

全長 25cm

 その名のとおり、砂底に暮らすコチの仲間、スナゴチ。

 それも全身を砂に埋めているから、たとえ目の前にいたとしても、そこにこの魚がいるとは気がつかないかもしれない。

 なにしろ砂中に潜んでいるときは↓こんな具合に、目と口しか露出していない。

 まるで砂底自体が笑っているかのように見える。

 この目をじっくり見ると、ヒダヒダが笑える。

 海底でジッとするタイプの魚によく観られる目のヒダヒダ、こんな目で眺める世の中は、どのように見えているんだろうか。

 …と目に注目する以前に、本体の存在に気づけなければどうしようもない。

 砂底に潜んでいるといっても、埋まっているというよりは背中に砂を載せているという感じだから、最初から魚体の輪郭がうっすらと出ていることもある。

 ときにはこの写真のように、輪郭だけじゃなく、尾ビレまで出しているサービス精神旺盛な子もいる。

 この状態から、観察するために背面の砂を払って体を露出させると、砂のような紋様を拝したスナゴチの体が出てくる(わかりやすくするためコントラストを強めてあります。

 でもスナゴチは裸身(?)を晒しているのはとってもイヤなようで(背に砂が無いというのはすぐわかるらしい…)、すぐさまその場で、あるいは少しばかり場所を移動して砂に潜り込んでしまう。  

 さすがスナゴチというだけあって、その潜り方は鮮やかだ。

 素早く身を捻って砂煙をまきあげ、一瞬の間に砂中へ没する。

 背面の砂を払うところから再び砂に潜るところまで、一連の様子を動画でも…。

 砂遁の術、まさに達人級。

 それを踏まえつつ、砂中のスマイルを改めて観てみると……

 「フフフ…」という声が聴こえてきそうなほどの、達人ならではの不敵な笑みにも見えるのだった。