シャコ貝のにぎり

 シャコ貝といえば、南国沖縄が全国に誇る海の幸である。
 その昔東北へ旅行した際に寄った寿司屋で、綺羅星のごとき寿司ネタに恵まれているはずの店主が、うらやましげに我々に言ったものだった。

 「一度シャコ貝を食べてみたいんだよねぇ」

 この流通の世の中にあっても、さすがにシャコ貝の刺身を内地で食べる機会はないといっていい。

 その点島に住んでいると、ツブ貝もホッキ貝も食べられない代わりに、シャコ貝には不自由しない。食べたい…と思えば、海に行けばいいのだから。

 このシャコ貝は、刺身で食べるのがもっぱらだけど、宴会のときなどには勢いで焼きシャコ貝にすることもあるし、民宿などでは豪快に味噌汁の具になっていることもある。

 なかでもとびきり豪華なのが、このシャコ貝のにぎり。
 いやあもう、美味いのなんの。
 もともとお寿司となると際限なく食べてしまうアホタレの僕は、もちろんこのシャコ貝寿司も無尽蔵に食べてしまえる。

 外套膜はにぎりで、貝柱やキモは軍艦巻きにしていただく。


左側3つがキモ、右の集団が貝柱。

 キモときたら、くどくないウニのようなもので、頬張った途端に母なる海の深い味わいと香りが口中に広がる。
 またこのシャコ貝たちが抜群に泡盛に合うのだ。

 これはもう風土的方程式が存在するに違いない。
 ってことは、泡盛を都内で飲んでもさして美味いと思わないのと同様、ひょっとするとシャコ貝も都内で食べたら品下がるのだろうか??

食べてよし、飾ってよし。

ご存知シャコ貝スタンド。
一粒で二度美味しいのでした(笑)。