タコ飯

 関西にお住まいのゲストのお話。
 彼はすでに沖縄を訪れること十数回、水納島にも毎年お越しくださっている。

 あるときお昼ご飯を食べようと、シアワセのパーラー・ティーダに立ち寄った。
 綺羅星のごとく並ぶメニューの中から彼が選んだのは、沖縄の軽食には欠かせないおなじみのものだった。

 しばらくのち、できあがったそれを手渡された彼は驚いた。

 「なんやこれッ!?」

 彼が頼んだのはタコライス。
 そして、手渡されたものもタコライス。
 そこには何も齟齬をきたす要素はないはずだった。
 が。
 彼が「タコライス」というメニューを見てイメージしていたものは、タコ飯だったのだ。チーズが大のつくほど嫌いな彼にとって、タコライスは拷問以外の何者でもないのだった。

 あのぉ、タコライスって沖縄の超定番メニューなんですけど……。

 関西地方にお住まいの方なら誰でも知っているこのタコ飯、残念ながら沖縄にはそういう食べ方は普及していない。だからそれまでタコを得る機会はたびたびあっても、我が家の食卓にメニューとしてタコ飯が出てくることはなかった。

 ところが前述のエピソードがきっかけとなって、今ではすっかりおなじみの定番メニューになっている。

 ネット等で作り方を調べてみると、これが正解!という作り方はないようだが、大きく分けると、タコとご飯をだし汁で一緒に炊くか、ご飯を蒸らすときに味付けした煮たタコを混ぜ合わせる方法の二通りあるようだ。

 うちではもっぱら前者の方法で食べている。ご飯にほんのりタコの風味が合わさって、えもいわれぬ味わいになる。

 胃袋がこれを待っている状態で、出てきたのがタコライスだったら、たしかにひっくり返るだろうなぁ……。

 ちなみにこれがタコライス

タコスの具をご飯に載せているので「タコライス」という。
もちろんそこには、タコなんて微塵も入っていない…。

 


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