ヒオドシユビウミウシ  ホクヨウウミウシ科

写真の個体の大きさ 4センチ

 まるでエレキングのような顔つきのこのウミウシの魅力は、実際に海中で出会わないとなかなかわからない。
 なんといっても、彼らは泳ぐ。
 泳ぐといってもムラサキウミコチョウみたいに羽ばたくのではなく、ミカドウミウシみたいに全身を波打たせるわけでもない。両側に開いていた皮弁を閉じ、身を素早くくねらせてグイグイと進んでいくのだ。

 実はこのウミウシと初めて出会ったのは、1mほど先の岩からヒョイヒョイヒョイと泳ぎ始めた姿だった。
 新種のギンポと思って色めきたったほどに、その様子は魚そっくりだった。

 またこのウミウシは、ハッキリと目を確認できる。


顔の両側にある黒点が眼。

 ウミウシといえば、普通は触角を目になぞらえてその表情を自分なりにつかむけれど、このウミウシの場合はこの本当の眼の存在によって、ガラリとその表情が変わる。
 とはいえこの目は触角の立ち具合で隠れることもあるから、じっくり観察しないと気づけないかもしれない。