写真・文/植田正恵

12.犯人はヤモリ!
月刊アクアネット2004年5月号

 こう見えても我が家はログハウス風の建物である…

 …そういうと聞こえはいいが、昔懐かしい木の電柱の廃材を利用して、素人が作った丸太小屋だ。

 そのため詰めが甘く、いろんなところにひずみおよび隙間がある。
 おかげでどれほど不完全燃焼しまくろうとも一酸化炭素中毒になる心配がないほど通気性はいいが、春ともなればいろんな生き物まで出入り自由になっている。

 いまどき一年中蚊帳を釣って寝ている(寝なければならない)家庭は、日本中探してもなかなかないと自負している。

 そんな家でもクーラーはある。
 梅雨時の体中にカビが生えそうな蒸し暑さや、真夏の炎熱地獄から逃れるには、クーラーという文明の利器に頼るよりほかない。

 引っ越してきて最初の夏のことだった。
 さあいよいよ夏本番というときになって、クーラーはいきなり無言になってしまった。

 思いつく原因をすべて調べてみたけれど、結局直らないまま夏は終わった。
 修理するなり買い換えるなりすればよさそうなものだが、当時はそんな金銭的余裕などなかったのである。

 そして次の年の夏も、願いもむなしくやはり動かず(願ったからといって動くわけはないのだが)、扇風機でなんとかしのいだ。

 その頃には訪れるゲストの数も増え始め、夜のゆんたくタイムに扇風機だけではさすがに限界を迎えつつあった。
 どうやら事は個人的な我慢強さだけでは済まなくなっていた。

 そこで、ついに件のクーラーを修理してもらうことにした。はたして故障の原因は?

 それは電気屋さんがクーラーの室内機を分解してすぐに判明した。

 「ヤモリが基盤で焼け死んでるさぁ。これでショートしていたはずよ。交換しようねぇ」 

 ヤ、ヤモリ!?

 たしかにそこにはヤモリの黒焦げ乾燥死体が。
 修理代3万円は、すべてこの黒焦げヤモリのせいだったのか……。

 沖縄にはヤモリが多いとはいえ、まさかヤモリが原因でクーラーが動かなくなるなんて!

 ちなみに、県内で販売されているクーラーには、今ではすべて「ヤモリガードつき」と銘打たれている。
 基盤に入り込めないように加工してあるのだが、いきなりヤモリガードつきと言われても、本土の人はびっくりするだろうなぁ…。

 隙間だらけの我が家はヤモリもやはり出入り自由なので、ものすごい数のヤモリが家の中に棲んでいる。

 それどころか繁殖もしている。
 普段滅多に開けない辞書をカバーから出すと、コロコロコロとヤモリの卵が転がるほどだ。
 
 プリンターで印刷したものに黒い線が入るなあと思ったらヤモリの卵のせいだったこともある。
 涼しくなると暖を求めるヤモリたちは、電気器具の温かいところが好みであるらしい。

 それまで虫を食べてくれる可愛いやつと映っていたヤモリを見る我々の目は、クーラー事件を経て一変していた。何か電気機器の調子が悪くなったらまずヤモリを疑わねば。

 パソコンの調子が突然悪くなったとき、ひょっとして…と思ったら、案の定パソコンの裏側にある送風用スリットに挟まっていたヤモリの死体がファンを止めていた。

 クーラーの経験がなければ、危うくヤモリ1匹でまた何万円の損失になるところだった。 

 早くパソコンにもヤモリガードを……あ、家の中で縦横無尽にヤモリが走り回っているなんてうちくらいか……。