写真・文/植田正恵

128.公衆トイレに関する考察
月刊アクアネット2014年1月号

 

 先日所用あって銀座に一週間ほど滞在し、築地市場をはじめとする界隈を彷徨うように徘徊してきた。

 飲んでばかりいたこともあって、その間何度も公衆トイレを利用させてもらったところ、観光地ということもあるだろうけれど、公衆トイレの多さと、それがきれいに維持されていることにとても感動した。
 公衆トイレといえば利用するのを躊躇するくらいに汚い場所、というのはもはや過去のものらしい。

 水納島に引っ越してきてから数年経った頃、島内をバキュームカーが走っているのを見かけた。当時はまだ島内各家庭の浄化槽の仕組みなど何も知らなかったので、水洗トイレの我が家には不必要なものだとばかり思っていた。

 ところが、上等な浄化槽を設置した水洗トイレであったとしても、1年に1度はバキュームカーのお世話になる必要があるということをそのとき初めて知った。

 当時の水納島では、シャワー設備併設の海水浴客用公衆トイレの汲み取りのため、年に1度だけバキュームカーがバージに乗って海を渡ってくるようになっていて、そのチャンスを逃すとまた来年ということになるのだ。
 そのため、島内を走るバキュームカーを見かけたら、手を振って呼び止めなければならないのである。

 ようやくそういう事情を知った我が家は、越してきてから初めて、元のオーナー時代からだとおそらくは5年ぶりくらいにめでたく汲み取りをしてもらった。
 浄化槽を覗いた作業員から「アキチャビヨー!!」という感嘆詞(?)が漏れたほどだから、相当物凄いことになっていたのだろう。おかげで作業には、通常の倍の時間と値段がかかってしまった。

 バキュームカーが島に来る最大の目的である島の公衆トイレは町営で、近年全面的に建て直されるまでは、いわゆる「ボットン便所」だった。

 昭和50年代に作られたそのトイレ施設は、その後観光客が劇的に増加するなどとは想像だにしていない規模だったため、とてもじゃないけれど年に1度の汲み取り作業では追いつかなくなっていた。
 だからといってトイレに入場制限を設けるわけにもいかず、毎年シーズン終了間際になると、ピラミッドの頂上が便器から突き出てくるほどの様相を呈していたほどだ。
 町営といいつつトイレの清掃は島の婦人部が交代制で行なっていたため、私も毎シーズンその汚いトイレとの戦いに明け暮れていたものだった。

 その後島民の署名活動が功を奏し、老朽化ということもあってようやく本部町が重い腰を上げ、めでたく現在の超高性能浄化槽設備の水洗トイレになった。
 ただし作ったはいいけれど維持管理は島に任せます、という町の新たな方針のために、以後は浄化槽の点検整備から水道代、電気代、清掃代、はてはバキュームカーを島に呼ぶ費用といった数百万円規模の予算を、シーズン中のシャワーの売り上げで賄わなければならなくなってしまった。

 設備を維持管理するための上記費用は、シャワーの売り上げに関係なく一定額である。今後は各種補修も必要になってくるだろう。万一観光客が激減したら、建物を維持できなくなるかもしれない…ということを、はたして本部町は考えているだろうか?

 銀座・築地界隈の公衆トイレの維持管理方法を詳しく知りたい今日この頃なのだった。