写真・文/植田正恵

188.二世代ダイビング
月刊アクアネット2019年1月号

 新年を迎えるにあたり、柄にもなく抱負などをつらつら考えていると、今年でついに水納島生活25年目を迎えるということに気がついた。

 十年一日のごとく過ごしてきた我々も、離島暮らしがついに四半世紀を数えるほどになってしまったのだ。

 この24年間、すべてゲストのおかげである。

 ありがたいことに1年目からほぼ毎年来てくださる方もいるし、島で知り合ったゲスト同士がご結婚されたということもある。

 そしてここ数年何組かのご家族が、念願の“親子でダイビング”を実現されている。

 当店は夫婦2人でささやかに営業しているので、一度に多くのゲストを引き受けることができない。
 そのかわり必然的に少人数制になるから、ご家族でお父さんはダイビング、お母さんと子供たちはお父さんと一緒にボートに乗ってスノーケリング、というリクエストにお応えすることもでき、すると船上はかなりの確率でご家族の貸切状態になる。

 それがクセになって毎年通ってくださっているうちに月日は流れ、小学生だった子がいつの間にやら高校生、大学生になり、合格祝いに体験ダイビングをプレゼントしてもらう、というケースが目立ち始めているのだ。

 毎年お父さんがダイビングをしているのを、スノーケリングをしながら海面から見ていれば、子供としても「自分もいつかやってみたい!」と思っていたに違いない。

 そして体験ダイビングがきっかけでダイビングにはまり、翌年にはダイビングの講習を受けてから来島、晴れてダイバーとして親子で潜っている家族も年々増えてきている。

 そんな親子が、ダイビングを終えたボートの上で、今さっき海の中で観てきたことについて語らっている様子は、見ていてとてもほのぼのとして素敵だ。

 その昔、職場では魚やエビやカニの話をしてもまったく通じなくて寂しい、というようなことをおっしゃっていたゲストのことを思えば、親子でともにダイビングをしている家族には、子供と何を話したらいいか分からない、なんてことはなさそうだ。

 当店では毎夜、ログ付けタイム(夜にその日のダイビングの記録をつける時間)としてゆんたくタイムと称している酒席を設けており、そこでは世代も職業も出身地もまったく違う人たちと、ダイビングと関係があったりなかったりする共通の話題で盛り上がることができる。

 きっと子供たちにもいろいろな意味で刺激になるだろうし、楽しそうにしている大人たちを見るよい機会かもしれない。

 ダイビングも面白いけどゆんたくタイムも好き、と毎年来島のたびに夜遅くまで参加している子供を見ると、四半世紀もダイビングの仕事を続けてきてよかったな、と思うこともしばしばだ。

 ただし四半世紀の月日は、たとえ気持ちは30代のままでいさせてくれても、体力まで放置プレイにはしてくれず、齢50を過ぎるとさすがに衰えを感じさせられつつある。

 とはいえ今後もまだまだお子様と一緒にダイビングを!というご希望が続きそうな状況を思えば、オフシーズンには筋トレやジョギングに精を出して体力維持に努め、まさかの3世代ダイビングの実現の日まで頑張らなければ…。

  ゲストのみなさんが親子でダイビングがしたくなる水納島の海にあらためて感謝しつつ、己の体に鞭を打つ。

 実はそれが新年の抱負であることに気がついたのだった…。