写真・文/植田正恵

6.島のイベント”学校行事”
月刊アクアネット2003年11月号

 夏の間あれほどにぎやかだったビーチは、11月ともなるとなんにもない砂浜にただ風が吹いているだけになっている。沖縄を常夏の島と勘違いしている人は相変わらず多いけれど、北風小僧の寒太郎はちゃんと沖縄にもやってくるのだ。
 水納島の港は北東を向いているので、北よりの強い季節風が吹く冬には、連絡船さえ欠航してしまう日がある。ましてや我がクロワッサンアイランドの小船なんて言わずもがな。せっかく遠路はるばる来島いただいても、悪天候のため潜れませんというのでは申し訳ない。そのため我が社は、社員総勢2名の多数決により満場一致で潔くオフを宣言し、
11月から翌年3月半ばまではひたすら冬眠……いや、島民生活を送ることにしている。

 このヨロコビの島民生活のために夏の間働いているといっても過言ではないのだが、ゲストをはじめとする多くの方は冬のヒマさを不憫に思うらしい。冬はいったいどのようにして過ごしているのか、と心配そうにたびたび聞かれるのだ。そのヒマを楽しんでいるというのに……。
 かといって4ヶ月半もの間ただだらだらと過ごしているわけでもない。基本的に晴耕雨読(妻耕夫読という説もある)を楽しんでいるとはいえ、暇なようでいて実は結構忙しい。その忙しい理由の一つが、なんと学校行事である。

 水納島に来て驚いたのは、子供もいない我々夫婦が自動的にPTAになっていることだった。会費を払うのはもちろん、年に数回はPTA会議に出るし、さらに学校の大きな行事ともなると、準備どころか本番まで参加を余儀なくされてしまう。児童生徒総勢6名の運動会ともなればギャラリーとして呑気にしている場合ではなく、ほぼ全島民が選手となるし、校内トリムマラソン大会では、我々はもちろんのこと船員さんたちまでもが駆り出され、みんな命からがら完走し、翌日翌々日には誰もが空前絶後の筋肉痛にあえぐことになる。
 幸い水納島は島民のほとんどが観光業を生業としているので、忙しい時期とヒマな時期がみんな一緒。必然的に学校行事は誰もが参加できる時期に計画される。みんなが暇を持て余しているときなので、おあつらえ向きに学校行事があるともいえる。
 なんで子供もいないのに、と当初は納得がいかなかったけれど、こういった学校行事が島でのイベントのほとんどすべてで、島民が一堂に会する数少ない機会でもある、ということがわかるにつれ、だんだんそれに参加することが楽しくなってきた。なにしろ全島民
50名の島である。たまのクラス会みたいなものなのだ。

 秋の運動会は無事終わり、年明けには最大のイベント学習発表会が待っている。もちろん全員参加型だ。それによって沖縄の伝統芸能に触れられ、おばあの料理のレシピを手に入れたりと、いろいろ得るところも多い。問題は、最近どうも“植田さんは学校行事に参加するのが大好きらしい”と思われている節があることだったりする。本来のPTAよりも目立ってしまっていいのだろうか……?