エビカニ倶楽部

アカツメサンゴヤドカリ

甲長 7mm

 「てぃんさぐの花」という沖縄民謡がある。

 ~♪
 てぃんさぐの花や 爪先に染めてぃ 親の言し事や 肝に染めてぃ~

 という歌詞だけ見てもピンとこないかもしれないけど、曲を聞いたら「あ、聞いたことある」という人がきっと多いはず。

 てぃんさぐというのはホウセンカのことで、昔の沖縄の童たちは、その花をマニキュアのように爪に染めて遊んでいたらしい。

 すなわち歌詞は、ホウセンカの赤い色は爪に染めて、親の教えは心に染めて、という意味。

 親の教えを心に染めているかどうかは不明ながら、爪の先をほんのりオレンジに染めているヤドカリがいる。

 その名もアカツメサンゴヤドカリ。

 リーフ上やリーフエッジのサンゴの上やその周辺で見かけることが多く、「サンゴヤドカリ」と名付けられているだけあって、サンゴやヤギなどに乗っていることもよくあるから、フツーに出会えるヤドカリさんたちの一員でもある。

 冴えない貝殻を宿にしていることが多いため、ホンワカした体の色のわりにはなかなかフォトジェニックにならないアカツメサンゴヤドカリなのだけど、こういう場所にいてくれるとなかなか絵になる。

 たまに綺麗な貝殻を利用している子に出会えても、たいていの場合若い個体なので、貝殻全体を撮ると主役が貝殻になってしまう…。

 ↑このような若い個体だと爪先だけオレンジで他は白く見える脚も、オトナになるとオレンジ色の細かい点々が目立つようになる。

 若くてもオトナでもいずれにせよ体が小さいので、サンゴの枝間にいることも多く、それが白化したサンゴだったりすると、たとえ冴えない貝殻でもけっこうフォトジェニック。

 でもたいていの場合、ただ撮りづらいだけだったりする。

 サンゴの枝間に暮らす生き物たちは多いから、時にはハゼと一緒にいることもある。

 サンゴヤドカリの仲間は岩肌や死サンゴの表面に生えている小さな藻のようなものをちまちまと食べるのがもっぱらのようだから、もちろんのことクロダルマハゼを狙っているわけではない。

 黒い小さなハゼをジーッと見つめている彼は、何を思っているのだろう?