甲幅 20mm(写真は10mmほど)
西太平洋では相模半島以南に分布するというヒメベニツケガニは、伊豆あたりでも観察例が多いようだ。
ただ、伊豆の黒っぽい海底で撮られたヒメベニツケガニは、一般的にはスルー確定の地味地味ジミー。
おそらく一部の変態社会人以外、見向きもされていないのではなかろうか。
そのわりにはネット上で観られるヒメベニツケガニの写真は数多く、エビカニ変態社会がいかに巨大帝国化しているかがうかがえる。
私自身もそこまでこのカニを愛しているわけではないものの、何かいはせぬか…と砂底をグリッドサーチしていたところ、砂上にチョコンと佇んでいた小さな小さなこのカニに出会った。
それが冒頭の写真。
白く明るい環境だと、こんなにも特徴的な模様が浮かび上がるのだ。
…って、実はヒメベニツケガニじゃなかったりしたらゴメンナサイ。
でも、地味度の違いこそあれ、背中の模様はどう見てもヒメベニツケガニですよね?
これほどわかりやすい模様があれば、見分けるのは簡単だ…
…と思いきや、濃淡が変わるだけじゃなくて、模様にも随分変化があるらしい。
そのうえヒメベニツケガニとよく似た種類が他にいくつかいるから、当初の確信は次第次第に薄れていく。
そうはいっても水納島の砂底でそうそう出会えるものじゃなし、どれかひとつを選べとなればヒメベニツケガニということにしておこう。
ただ。
冒頭の写真を撮ったほぼ同時刻、画像データに記録されている撮影日時的にはたった2分後に、↓このような写真を撮っていた。
滅多に会えないはずの類のカニなのに、たて続けに2匹目?
それとも、同一個体が色を変えて場所を変えるのを観てから撮った?
同一個体なら、冒頭の写真はこういう色にもなるんだ…ということがわかるし、他個体なら、たとえ別種でも、この類のカニはいるところにはわりといるんだ…という結論を得ることができる。
しかしあいにく、この2分の間に何があったのか、撮影者である私の記憶は、ほんの5年前(2017年)のことだというのにまったく欠落しているものだから、何をどうともいえないのであった。
そもそも冒頭の写真と↑この写真のカニは、同一種なんでしょうか?
少なくとも、眼と眼の間の↓この部分(第1触角)の色柄形はそっくり。
同一個体かどうかはともかくとして、同じ種類ってことかな?
ほぼ同じ場所にいる同じカニの色がこんなに違うんじゃ、やっぱりわかりづらいカニってことみたい…。