


体長 約7mm
今年(2026年)は故あって連絡船が長期入院中のため、5月になっても代船運航で、ちょっとした風が吹くと欠航となる日が相次いでいた。
それはそれでたいそう不便ではあるものの、いい季節のいいお天気の日に桟橋やビーチがヒトッコヒトリーヌになるという、まるでコロナ禍中のような僥倖もある。
そんな時は、桟橋脇潜入のチャンス!
特に何がいるとか、何か観たいものがいるというわけではないにしろ、いつもなにかしら「おっ!」となる出会いがある桟橋脇、5月末の全便欠航デーにエントリーした際も、いつものようにあれやこれやを撮りながら、ビーチエリアにはわりと多いトゲアナエビ(ヤハズアナエビ)と海藻で遊んでいた。
すると…
トゲアナエビの傍に、別のエビがいる!

5㎜以上10mm未満の極小サイズだから、静止画像だけだと気がつかなかったかもしれないところ、トゲアナエビが海藻を受け取って穴を出入りする動きとこの物体がまったく連動していなかったおかげで存在に気がついた。
にわかに体内にアドレナリンを噴出させながら、トゲアナエビの背後に見え隠れする謎のエビをパシャ…

パシャ…

そしてパシャ。

(冒頭の写真はこの天地を逆にしたものです)
この時トゲアナエビの巣穴にいたのは、たまたまなのだろうか。
しかしその赤い体は、同じく赤いトゲアナエビとのなんらかの関係性を示しているような気もする。
観ていたかぎりでは、このエビはトゲアナエビの巣穴の出入口付近から外へはけっして出ることはなかったから、そうなるとますます「同居人」っぽく思えてくるエビちゃん。
アナタのお名前なんてーの?
こと話がエビカニとなれば、頼るべきはもちろん当代屈指のエビカニ博士F教授である。
そのうちご教示を請うことにしよう…
…と安易に考えかけたものの、実は世間では誰もが知っていて当たり前のエビなのかもしれず、とりあえず調べてみることにした(だんなが)。
画像で直接検索しても頓珍漢な回答しか得られなかったため、
「トゲアナエビの巣穴にいるエビ」
で検索してみたところ、いきなり解答に巡り会えたらしい。
それは、2023年4月26日付で公開されている琉球大学の研究成果アピールページで、それによるとこのエビは、カギテシャコエビ属の新種なのだそうな。
ちなみに、エビの中には「エビシャコ」と名がつくものもいるけれど、この「シャコエビ」とはまったく無縁なので誤解なきよう…。
それはそうと、リンク先のページには標本写真しかないけど、同じエビですよね?
撮った写真では丸く見えたハサミ脚は、なるほど、鉤状になっているのか…。
リンク先の説明によると、これまで見つかっているカギテシャコエビ類16種のうち、14種は海底の石の下や海中洞窟などにいたものだそうで、共生関係が確認されたのは2種類のみ、それも相手はスナモグリ類だったらしい。
なのでトゲアナエビ(ヤハズアナエビ)との共生関係が確認されたのは、この仲間で初めてのことなのだそうな。
ちなみにこういう研究の場合、力技的吸引装置を用いたサンプリング結果に基づいているらしく、おそらく両者の共生関係などの生態を実際に海中でつぶさに観察しているわけではないと思われる。
ということはすなわち、私がこの日撮った画像は、カギテシャコエビの新顔の貴重なフィールド写真ということになるのでは?
あくまでも変態社会でしか通用しない話ながら、やはり桟橋脇、侮りがたし!