エビカニ倶楽部

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テルナテブラザース

体長 20mm

 テルナテサンゴヤドリエビというエビがいる。

 枝間の狭いミドリイシ系のサンゴを覗くと、顔をこちら側に向けている姿に高確率で会うことができるエビだ。

 よく見かけるわりには図鑑に載っていないなぁ…と長い間ナゾのエビだったところ、これまた「サンゴ礁のエビハンドブック」にて初めて登場したおかげで、その正体を知ることができるようになった。

 けっこう地味なエビなのに、いきなり1ページ目にドドンとでっかい写真でこのエビが登場するのは、そういう意味もあるのだろう。

 ただ、そこで新たなナゾが生まれてしまった。

 冒頭に並べた4枚の写真のうち、1番はこのテルテナサンゴヤドリエビでまず間違いない。

 よく見かけるとはいってもたいてい狭いところで顔だけこちらに向けているという状態ばかりだから、いつどのように撮っても↓こんな感じになってしまう。

 でも顔の模様やチラッ…と写っているハサミ脚の模様からしても、やっぱりテルテナサンゴヤドリエビ。

 ところが冒頭の写真のうち後続の2番3番4番は、居場所といい見かけといい、テルテナサンゴヤドリエビとは違う種類であろうと思われる。

 モンダイは、じゃあ彼らはいったい誰?ということ。

 2番のエビはわりと深いところ(水深35mほど)にある、いろいろな付着生物がたくさんついている場所でよく見かける子で、ハサミ脚の模様はテルナテサンゴヤドリエビに似てはいるけれど、顔周辺の模様が違うし、テルナテのようにサンゴに隠れているということはなく、身を外に晒していることのほうが多い。

 小ぶりな個体が旧一本サンゴ(水深20mちょい)の亡骸についているガヤ系に載っていたこともあったけれど、隠れているという雰囲気ではない。

 

 3番は、一見サンゴに住まうエビっぽく佇んでいるけれど、これはたまたまそこに開いている穴が格好の隠れ家になるからのようで、もっぱら砂底で自由生活をしているっぽい種類だ。

 なので砂底から伸びるトサカの根元付近に載っていたり…

 ビジュアル的にまったくパッとしないところにフツーにいたりする。

 2番と3番を区別している最たる理由はハサミ脚の模様で、2番のハサミ脚には細かい褐色の点々が入りつつ、テルナテのような白い帯があるのに対し、3番にはそれがなく、シオダマリカクレエビのように要所要所に点々模様がついている。

 パッと見もシオダマリカクレエビにそっくりではあるけれど、タイドプールなど超極浅環境限定のエビが深いところにポコポコいるとは思えないから、別の種類なのだろう。

 で、4番は、ザ・テナガカクレエビにそっくりなんだけど、フツーに砂地のポイントのリーフ際で撮ったものだから、浅いとはいってもザ・テナガエビがよく観られるらしい潮間帯環境とはまったく異なるし、そもそも逃げも隠れもせずにこうしていた記憶がある。

 2番3番と4番はまったく別系統のような気がするけれど、いずれにせよ正体がわからないということに違いはない。

 いつの日か図鑑を見ただけでひと目で正体がわかる日が来ることを願いつつ、とりあえず今は彼らをテルテナブラザース認定して一堂に紹介しておこう。