エビカニ倶楽部

ツキホシカクレエビ

体長 30mm(写真は15㎜ほど)

 今とは比べ物にならないほど生物が多様だった昔でさえ、エビカニがついていそうな付着生物が少なかった水納島だから、ウミシダも各種ヤギ類のすっかり減ってしまった現在では、フツーにファンダイビングをする水深でエビカニサーチができる付着生物系など、かなり限られてくる。

 その点、同じ白砂の海底でも照度が低くなる深場では、まだまだトサカ類やウミエラ類がけっこう観られ、それらをサーチするとエビカニとの出会いが待っていたりする。

 なのでついつい、そういうところを徘徊する私。

 梅雨が明けたかのように天気がいい梅雨時の6月(2026年)のある日も、そんな深場をあてもなく逍遥していた。

 すると、丈20㎝ほどのウミエラがポツポツ生えているゾーンがあった。

 すかさずサーチしてみたところ、そこには見慣れないカクレエビの姿があった。

 このテの透明系のカクレエビ類とはちょくちょく出会うとはいえ、普段出会うものたちとは明らかに模様が異なるこのエビは、その名もツキホシカクレエビ。

 なんだか運動靴のようなイメージながら、もちろんその名は他とはっきり区別できるオレンジ色の模様に由来しているのだろう。

 その昔「エビカニガイドブック久米島編」(2003年刊)で名も無き珍エビとして図鑑に初登場し、その10年後に刊行された「サンゴ礁のエビハンドブック」では、晴れて学名も和名も記載されていたツキホシカクレエビ。

 どちらの図鑑も刊行直後にくまなく見ていた私なので、このエビの存在は知っていた。

 けれど残念ながらこれまではコンデジで撮ったエクトプラズムのようなエビがひょっとするとこのエビかも…ということはあったけれど、画像記録を残せるほどしっかり出会ったことはなかった。

 今回が事実上の人生初遭遇。

 ただ、その間に流れさった月日が、私のこのエビの記憶もすっかり運び去ってしまっていたため、せっかく会えたというのに「なんか模様が違うぞ…」という程度の興味だけで撮ってしまった。

 そのため図鑑ぽく横からのフォルムも撮らせてもらおうなどという熱意が発露することもなく、綺麗めカワイイエビ的に撮れたらOKというノリでしかなかったので、正面から撮った画像しかないのだった。

 でもまぁ、前であれ後ろであれ上であれ、いまだレア度は相当高いと思われるツキホシカクレエビであることに間違いはないのだから(といってもネット上にはけっこう画像があるけど…)、個人的には貴重な写真記録となったのでよかったよかった。