エビカニ倶楽部

ウミグモの仲間

体長 5mm~15mm(会ったことがあるもの限定)

 「エビカニ倶楽部」と言いながら、ヤドカリやカニダマシなどの異尾類はエビでもカニでもないし、シャコ類はエビやカニ、ヤドカリたちが含まれる「十脚目」ですらない。

 それでもまだ、「甲殻類」という大きなグループの一員という意味では、同じ仲間といっても差し支えはない。

 ところがこのウミグモたちときたら、それら「甲殻類」とはかけ離れた存在で、同じレベルの分類単位では「鋏角類」と呼ばれるグループになる(クモ、サソリ、カブトガニなども同じ仲間)。

 すなわちエビやカニ、ヤドカリたちとは、「節足動物」という、限りなく巨大で広範囲なグループでまとめた場合にのみ「同じ仲間」ということになるわけで、彼らを紹介するならむしろ「海のなんじゃこりゃ?」こそふさわしい。

 しかしそんな分類学上のことに関係なく、当コーナーの主宰者である私が昔から妙に気に入っているクリーチャーである、というただそれだけの理由で、このコーナーにラインナップさせてしまうのだった。

 さてそのウミグモ。

 子供の頃、よくカブトムシやクワガタを採りに行ったという人は多いかもしれないけれど、クモが好きでよく飼っていたという人は、世の中にそうそういるとも思えない。

 生き物全般が苦手という方はともかく、生き物は好きなのに、クモは「ウヘェー、勘弁して!」と思っている人も多いかもしれない。

 このウミグモは、前述のとおり名前だけではなく、分類上も紛れもないクモの仲間である。

 どこに行けば会える、どこをサーチすればいる、というものではないけれど、忘れた頃にヒョコッと出会えるくらいには会える生き物で、冒頭の写真はカワテブクロの上にたまたまいたもの。

 たまたまサンゴの上に乗っていることもある。

 マシーンのような体で、サンゴの上をギクシャクと移動しているところ。

 ウミグモ類は地球上に生命が大爆発したカンブリア紀、およそ5億年前から化石記録が残っているそうで、そういったものにありがちなように、深海を生息域にしているものもいる。

 初めてダイビング中にウミグモと出会うまでは、東京の葛西臨海水族園の冷た~い深海水槽の中でジーッとしている姿しか見たことがなかったので、動いている姿を見られただけで感動したものだった。

 その他、水中を漂いつつ足を時折ワシャワシャと動かしているものを観たこともある。

 昔に比べると出会う頻度が減った気がするものの、今でもときどき見かけるウミグモ。

 彼らはもともとサンゴ礁の海に住んでいるのか、たまたま流れてきてしまっただけなのか、どっちなんだろう?

 昔から気に入っていると言いつつ、そのあたりのところはまったく詳しくないのだけど、フォトジェニックなところにいると、とにかくカメラを向けてしまう私。

 なので、カワテブクロに乗っていればこれ幸いとばかりに撮るし、イソバナにいればパシャ…

 トサカにいればパシャ…

 どこにいようと、ロボットのように動く様子は一見の価値ありだ。

 海中ではそうやって動いているところを観ているから戸惑うことはなかったけれど、写真だけ見るとこのウミグモ、どっちが前なんだか、一見しただけではよくわからない体つきをしている。

 ウミグモたちは、体がビヨンと長く伸びている側=吻、が前方になる。

 で、この吻側から観てみると…

 吻の付け根付近に、ポコンと飛び出た突起があることがわかる(矢印)。

 これは「眼丘」と呼ばれるところで、どうやらウミグモの目のようだ(「目」は突起の前後に1対ずつ計4つあるらしい)。

 別角度でもう少し拡大。

 突起に目があると、なんだかその部分が「顔」のようにも見え、それをふまえて全体を見てみれば…

 なんだか飛行ロボット兵ラムダが地上兵器化した姿にも似ている気が…。

 ラムダに似ているかどうかはともかく、これまでに紹介しているウミグモたちは、おそらく同じ種類か、少なくとも近縁種であると思われる。

 これらとは明らかに異なるのが、一度だけ砂底で出会ったことがある↓コイツ。

 すべて線でできているような体つきながらサイズは大きく、ピンボケ写真で申し訳ないけど対指比でこれくらい。

 指は手前にあるのにこんなに大きく見えるのだから、相当でっかい。

 もっとも、デカいからといって迫力の動きを見せるかというとそうでもなく、おそらくこれとは別種なんだろうけど同じく大きなウミグモは、こういうところにいた。

 その足元に、ウミタケハゼの仲間がいることにお気づきだろうか。

 そしてこのウミグモは…

 移動中に、3cmほどある大きめのウミタケハゼを踏みつけてる!

 踏まれているというのに、微動だにしないウミタケハゼ。

 これ一事を見ても、ウミグモの動きはハゼを驚かせないほどに、繊細かつエレガントなものであることがわかるのだった。

 5億年の歴史も伊達ではない…。