エビカニ倶楽部

ヤイトサラサエビ

体長 3cm

 お灸のことを、関西では「やいと」と呼ぶのが一般的だそうだ。

 ヤイトサラサエビは、腹部背面に丁度お灸をしているような模様がある(写真下矢印の先)ことから、この名前が付けられたそうな。

 いうまでもなく、水納島で観られるサラサエビの仲間のなかでは、スザクサラサエビと同じくらいかなり普通に見られるエビだ。

 リーフ際の浅いところでも石の裏側などを探せば潜んでいるため、出会いやすさでいうならスザクサラサエビどころじゃなく場所を選ばないと言えるヤイトサラサエビ。

 ただ、彼らにとっては不幸なことに、そういった浅場の死サンゴ石がたくさん転がっているゾーンといえば、エビカニ変態社会人たちの重要なサーチゾーンでもある。

 エビカニ変態社会人さんたちにとっては、いつでもどこでもゴロゴロいるヤイトサラサエビなど完全にアウトオブ眼中ながら、石の下に潜んでいたヤイトサラサエビたちはとんだとばっちりだ。

 パニックになって……手近なところに逃げようとする。

 直近の手近なところといえば、石をめくったダイバーそのヒト。

 ゴッドハンドO野さんがエキジットする際には、ボートの梯子につかまりながら、とある儀式が行われる。

 そして彼が船上のヒトとなる頃には、水面付近からヤイトサラサエビのチビたちがたくさん降ってくるのだった。

 パニックになってO野さんに縋りつくヤイトサラサエビのチビチビはこんな感じ。

 こんな可憐なエビちゃんをパニックに陥れるなんて、なんと罪深い…。

 浅いところではそのような被害に遭うこともあるヤイトサラサエビも、メクリストがめくりたくなるような石がそれほど転がっていないところなら、安全安心に暮らしている。

 オトナはこのようにちょっとした隙間などでワラワラしていることのほうが多いけど、チビたちはわりと絵になるところにいてくれることもある。

 一方リーフエッジの日陰にいるオトナは、大胆にも↓こんなところにいることもあった。

 ほんの一瞬だけだったけど、乗られたカノコイセエビもビックリしたことだろう。

 私もビックリしてしまったので、この千載一遇のチャンスにこの1枚しか撮れなかったのだった…。