エビカニ倶楽部

ヨツハイシガニ

甲幅 30mm

 「ヨツハ」の「ハ」は四葉のクローバーの葉ではなく、「4つの歯」という意味らしい。

 ただし歯といっても、口中の歯のことではない。

 カニを背中から見て、眼の脇から甲羅がもっとも横に張り出しているところまで続く前縁部を、カニ類の分類学的用語では前側縁(ぜんそくえん)といい、その前側縁にあるギザギザのことをカニ業界では「歯」と呼びならわしている。

 その「歯」の数や形が、カニを分類する上で非常に役立っているそうで、このヨツハイシガニの前側縁には、4つのギザギザ、すなわち四つ歯があるのだ。

 ま、その歯が3つであれ4つであれ5つであれ、そんなことを気にするのはアカデミック変態社会くらいのもので、我々一般ユーザーにとってはもっとわかりやすい特徴を!てなところだけれど。

 とはいえいわゆる「ガザミ」フォルムの中途半端に大きな(甲羅の幅は3cmほど)このカニを、わざわざ探し求めてまで会いたいと願う物好き(?)なんてそうそういらっしゃるとも思えず、たいていの場合、何か他のものを見ようとしているときに、ふとしたはずみで出会っているのではなかろうか。

 ヨツハイシガニも夜行性のため、日中は暗いところでジッとしていることが多く、それも狭苦しい隙間にスポッ…とおさまっていることが多い。

 場所が場所だけに、↑このように周りがサラサエビ系でにぎやかになっていることもある。

 冒頭の写真のように赤味が強いものがヨツハイシガニのノーマルカラーっぽいけれど、砂地の根に潜んでいるものたちはこのように白っぽい。

 別種かな?と思ったら。

 甲羅のギザギザを数えてみてください…

 …と言いたいところながら、狭いところにスポッ…とおさまってこちらを向いていることが多いから、ギザギザの数がわかるように撮れないんだよなぁ…。