海のなんじゃこりゃ?

其之四十三

砂底のタクト

 冒頭の写真は、5年くらい前から海底で目にする頻度がやけに増えてきたモノ。

 当初はイセエビ類の触角かと一瞬見紛いもしたけれど、エビの触角とはいささか様子が異なっている。

 長さ40~50cmほどの白く細い棒はまるで指揮者が手にする指揮棒のようにも見えつつ、きまって微妙に曲線を描いているそのフォルム。

 完全に剥き身になった棒しか見ていなければ、それこそ「なんじゃこりゃ?」となっていたであろうところ、肉が少々残っている状態で転がっているモノも時々目にするようになり、その正体がわかってしまった。

 これくらいの小さな画像だと見えないから、もっと拡大してみよう。

 この感じ、これは間違いなくウミエラの骨格だ。

 それも、水納島だとかなり深いところでしか観られない、このような細長いタイプのウミエラ。

 このウミエラの林には1m近く伸びているものもいて…

 その基部に近いところを見てみると…

 …砂底に転がっている謎のタクトにそっくり。

 撮ったことはないんだけど、時には死にたてホヤホヤっぽくもっと肉がついている状態モノも転がっていることもあり、それを見れば誰でもウミエラだとわかる。

 深い海底で林を作るほどたくさんいるくらいだから、ウミエラの芯が潮流で浅いところまで運ばれてきてもおかしくはない。

 でも、近頃とみに増えているこの砂底のタクト、それはすなわちウミエラがたくさん死んでいるってことなわけで、それはそれでなんだか不気味な何かの足音…という気がしなくもない。