海のなんじゃこりゃ?

其之十八

恐怖の添加物

 冒頭の写真は、サンゴ礁域ならごくごくフツーに出会えるフエヤッコダイ。

 でもこのフエヤッコダイ、ちょっとばかし変な感じが…。

 そう、その体表にポツポツと白い点々が浮き出ているのだ。

 熱帯魚を飼っている人、飼ったことがある人であれば必ず知っている魚の病気の一つに、白点病がある。

 繊毛虫の病原体が魚に寄生することにより発症する病気で、体力の弱っているところに発症するため、放っておくと魚が命を落とす原因ともなる。

 ある日突然、水槽内の魚たちが白いブツブツだらけだった……。

 そんな経験をお持ちの方が上の写真のような魚をご覧になれば、身震いされることだろう。

 でもこの写真の白い点々は、白点病ではない。

 科学的なエビデンスがあるわけではないので断言はできないのだけれど、この白い点々つきの魚たちは、餌付けを頻繁に行っている周辺でよく見られる。

 本島から水納島にやってくるマリンレジャー業者の中には、いまだに平気で餌付けをやっている店が少なくない。

 餌付けそのものの是非以前に、餌付け用の餌そのものが大変害のあるものである、という問題がある。

 餌付けにはよくソーセージが使われる。

 それはよくないよね…ってことで、冷凍サンマを使うこともある。

 魚肉だからとか、魚そのものだから、などと自然に優しい感をどれほど謳ったところで、もともとそれらは人間用の食品である以上、保存がきくようにするために、なんだかんだといろいろな化学物質が入っていたりする。

 それらの添加物はヒトにとっては安全基準内であっても、はたして魚たちにとってどうなのか?

 たしかなエビデンスは無いけれど、餌付けを頻繁に行っているところでこの白いブツブツがたくさんついている魚をよく見かける、というジジツが、ひとつの答えになっていると思われる。

 実際、真っ先に餌付くヤマブキベラも…

 白いブツブツだらけのものをよく観る。

 直接餌付くわけではないにしろ、餌付いている小魚を食べている魚にも、その影響は出ている。

 リーフ際にいたヘラヤガラのボディにも、ご覧のとおり白いブツブツがビッシリ。

 科学的エビデンスはまったくないから、まったくの思い過ごしかもしれないし、いわゆるお役所がよくいうところの、「因果関係はハッキリしない」と言われてしまえばそれまでのことでしかない。

 でも。

 ―――だからまだ餌付けはしてもいい

 ―――だけどもう餌付けはしないほうがいい

 どっちを選ぶかが問題だ。

 こういうことはお役所にどうこう言われる類のものではなくて、1人1人がしっかり考えて判断すべきことではあるのだけれど、「とりあえず餌付けしとけばよかんべ」イズムの業者さんたちは、おそらくこの世で最も何も考えていないヒトたちである、ということが最大のモンダイかもしれない。

 

 釣りのエサに使われるコマセにも、モノによっては様々な添加物がたっぷり含まれているから、一概に餌付けだけが悪者というわけではないはず。