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10キロコース参加者が9時にスタートを切り、号砲一発、盛大に花火が打ちあがったあと、ハーフとフルは9時5分にスタート!!
聞くところによると、参加者数が3万人を超える那覇マラソンでは、よーいドンッ!!からスタートラインに達するまでに 30分くらいかかるという。
その点この石垣島マラソン大会は、全コース含めて総勢3000人弱なので(海洋博トリムマラソン大会より少ない!)、スタート時のそういった混雑はまったくない。

実に和やかに穏やかにスタート。
周囲にはウルトラマンの格好をした人とか、スティッチの気ぐるみを着ている人など、市民マラソンに欠かせない変な人もいる一方で、宇宙人の衣装のようなマラソンウェアに身を包んだ人もたくさんいる。
格好から入るうちの奥さんは、水納島でもこの宇宙人ウェアで練習していた。
水納島では超がつくくらいに「変」に見えたそのマラソンウェアも、こういう大会になるとごくごく普通に見えるくらいに溶け込んでいる。
また、参加者には思っていた以上に年配の方も多い。
大会パンフレットに載っていた参加者名簿を見てみると、 60代はざらで、中には70代の方々も普通にフルマラソンに参加しておられる。
僕などはもう、走っている間に死んでしまうかも……と本気で覚悟しているというのに、世の中には平気でフルマラソンを走ってしまえる年金取得者がざらにいるのだ。
そんな高齢参加者に勇気づけられつつ、徐々にバラけはじめたコース上で、僕はまだ不安と戦っていた。
ホテルからの30分の徒歩では、幸いカカト痛には見舞われなかった。
が、なにしろ10日ぶりくらいのジョギングだ。いつカカトが痛くなるかと気が気ではない。
そういうことに神経が行きすぎると、普段なら気にならないようなちょっとした足の甲の違和感やら何やらが、また新たな故障のスイッチのような気がしてくる。
今この時点でどこかに痛みがきたら、完走はおろか 27.5キロ地点にすら達せないかもしれない。
そんな不安を隠すべく、ペチャクチャ話しながら走っている僕。
なのにうちの奥さんときたら、しゃべればそれだけ体力を消耗するから、返事をするにも笑うにも、極力口を開けずに表情だけで済ませるのであった。
そのくせ、下り坂の直線コースになり、遥か前方までランナーの列が見えると、その様子を撮れ、などと言ってはVサインを寄越してくる。

え?
カメラ持って走ってたのかって?
だって、マラソンは楽しまなきゃ。
…といってもカメラを持っていたのはうちの奥さん。
マラソン用の小さなポーチにカメラと携帯電話と小銭を入れて走っているのだ。
小銭や携帯電話はともかく、いかにコンパクトといえどもデジカメはけっこう重い。
それを腰に携えて走るなんて僕なら絶対にありえないけど、参加者を見渡すと、みなそれぞれペットボトルやらカメラやら、いろんなものを腰に巻きつけているようだった。
カメラを携帯して走っているのはうちの奥さんながら、上の写真を撮る時には両手を持ち上げて撮っているわけで、かなり余計な体力を使っている気がするんだけど………
マラソンは楽しむものなのである。
やがて5キロ地点を過ぎたあたりで、ハーフコースとフルコースの分岐点になる。
左側がハーフ、右に行くとフル。
この分岐点で、なぜハーフにしておかなかったのかという激しい後悔に見舞われていたのはいうまでもない。
でも!!
その分岐点で、まず最初の応援団(?)が!
マサカッちゃんはとっくの昔に通り過ぎて行ったであろうに、我々が通過するまで、 Yさん、ヒサコさん、そしてマサカッちゃんの奥さんスダちゃんがここで待っていてくれたのだ。

撮影:Yさん
スニーカーまで履いて気合満々のヒサコさんは、パーランクーをたたきながら沿道を伴走してくれている。

撮影:オタマサ
でも………………
すみませんヒサコさん、そのアップテンポなペースで走ってしまったら、我々の走力ではすぐさまエネルギー切れを起こしてしまいそうなんですけど……。
温かい応援に勇気づけられつつも、あくまでも冷静に。
そうして分岐点を通過した頃、僕はうれしい誤算に気がついていた。
5キロまで走ってきた時点で、カカトの痛みがまったくないのだ!!
というか、ここ1ヶ月半ほどでは最も調子がいいといっていいくらいに順調だ。
1週間の休養は、けっして無駄ではなかった………!!
使い古したフィンのストラップのようだった僕の足底腱膜は、知らないうちに随分と回復していたのだろうか。
これならまだまだ戦える!!……………………かも?
なにしろまだ8分の1弱が過ぎただけだものなぁ。まだこの先5時間ほど走らなければならない………。
急げヤマトよ、イスカンダルへ!!
人類は君の還りを、君の還りだけを待っている!!
地球人類滅亡まで………あと5時間と10分!! |