水納島の魚たち

アサドスズメダイ

全長 7cm

 サンゴ礁のリーフ際には、とにかく小魚が多い。

 プランクトン食の小魚たちにとってリーフエッジ付近は、エサが効率よく集まるうえに隠れ家になるサンゴも多いから、他のどこよりも群れ集っている。

 アサドスズメダイも、リーフエッジ付近を彩っている小魚のひとつだ。

 とはいえ同種だけで密集した群れを作るわけでもないから…

 彼らが集まっている様子を観ても、他のスズメダイたちと同じく「その他の人々」になってしまい、さほど見栄えがするわけでもない。

 1匹1匹を見ても際立つ鮮やかさがあるわけではないので、ダイバーに注目されることは滅多にない。

 それでも、上のようなシーンからアサドスズメダイたちがいなくなってしまうと、あとには黒白のシコクスズメダイだけになるのだから、リーフ外縁からアサドスズメダイがいなくなってしまえば、景色はきっとそこはかとない寂しさに包まれることだろう。

 1匹1匹に注目する機会がほとんどない(※個人の感想です)アサドスズメダイながら、リーフ際に普通にいるので特に探す必要もなく出会える。

 そこであえて注目してみると…

 …わりと可愛かったりする。

 水温が温かい時期ならチビターレもたくさんいて、隠れ家のサンゴの傍にいることが多いから、サンゴの色が美しければ…

 アサドスズメダイ・チビターレも美しくなり…

 そして可愛い。

 図鑑的な「成・幼で体色に違いはない」などという説明よりは、遥かにプリティなチビターレ。

 暗闇に浮かべば……

 思いのほかスマート&シャープ。

 ともかく、そのイメージはオトナとはかなり異なる。

 このスマート&シャープなチビターレを局部(?)アップしてみると……

 色彩の粒子の洪水だ。

 アサドスズメダイ、地味な存在のようでいながら、なにげに印象派なのだった。

 ここまで知ってしまったアナタはもう、アサドスズメダイに注目せずにはいられない。