水納島の魚たち

ヒメブダイ

全長 30cm(写真は3cmほどの幼魚

 ブダイの仲間は、日本で確認されているものだけで36種類もいるそうな。

 多くの健全な(?)ダイバーはそれらをすべてひっくるめて「ブダイ」と呼ぶ。

 けれどスペシャルプリティなイロブダイを例に挙げるまでもなく、チビターレとなるとひと口で「ブダイ」と済ませてしまうのは申し訳ないキャラクターがけっこういる。

 このヒメブダイ(と思われるブダイ)のチビもまた然り。

 カモメ岩周辺のインリーフはパッチ状にサンゴ群落が広がっており、それぞれの群落は様々な小魚たちの拠り所になっていて、ブダイのチビたちの姿もよく観られる。

 なかにはこのヒメブダイのチビのように、普段のボートダイビングで訪れるリーフエッジのベラブダイ保育園ではお目にかかる機会がないチビの姿もある。

 なんだかレモンライムの青い風が吹いてきそうな爽やかな色合いのこのチビも、やはりオトナになったらいわゆる「ブダイ」になるのだけれど、「ヒメ」というだけあってオトナになっても30cmくらいのようだ。

 チビターレだけではなく、オトナもまた浅い浅いインリーフ環境を好むらしいヒメブダイには、普段のボートダイビングではそうそう会えない。

 潮が引いている時間帯だとタンクを背負った状態で滞在するには浅すぎるくらいのリーフ上に満潮時に行けば、他と区別がつきやすいメスがスイスイ泳いでいる姿を観ることができることもあるけれど、オスはイチモンジブダイとそっくりな色柄なので、出会ってもそれと気づかずにいるせいか、目にした記憶がない。

 いずれにしても、いかにも「ブダイ」なオトナを見るために、わざわざそのような場所で波に揺られるヒトはそう多くはないだろう。

 やはりブダイたちとお近づきになるにはまず、お宝探しゲーム的にチビターレサーチが面白い。