水納島の魚たち

イソハゼ属の1種その2

(イソハゼ属の1種-9)

全長 2cm

 イソハゼの仲間は種類が多く、様々な環境で観られるから、かなり浅いところを好んで暮らしている種類もけっこういるらしい。

 普段ボートダイビングをメインにしていると、あいにくそういうところに潜る機会が少ないから、たくさんいる種類であっても出会う機会にはなかなか恵まれない。

 もっとも、クラシカルアイとなってしまって久しい今では、たとえいたとしても目に入らないから、スルーしていることのほうが多いのだろう。

 なので今年(2024年)2月に桟橋脇で出会った冒頭の写真のイソハゼも、本来であればサラリとスルーしていたはず。

 ところが何を血迷ったのか、ワタシとしたことがこの時やけにゾロゾロしていた小さなヤドカリさんたちを観るモードになっていたおかげで、藻が生えているだけの地味な岩肌に佇む彼女に気がついた。

 それにしてもまぁ地味だこと…。

 これといった特徴が無い小さなハゼの正体を確かめるのは、さすがのグーグル先生でもムツカシイらしく、いきなりビンゴ!な画像には出会えなかった。

 でも「新版日本のハゼ」を参考にしつつ、ネット上に星の数ほど出ているイソハゼの仲間たちの画像を調べてみたところ、どうやらこのイソハゼは「日本のハゼ」にて「イソハゼ属の1種-9」として紹介されているものらしいことがわかった。

 似たように地味地味ジミーなイソハゼの仲間がいくつかいるなか、目の周りの模様が↓こうなっているのは…

 …「イソハゼ属の1種-9」をおいてほかになかった、という理由による。

 その程度の根拠なので、実は違う種類かもしれないこと、どうかお含みおきくださいませ。

 図鑑的にはかなり浅いところを好むイソハゼのようで、地味地味ジミーな体色が示しているとおり、ガレ場の死サンゴ片や死サンゴ塊の周辺にポツンポツンといるらしい。

 写真の子はメスで、オスは背ビレの先がもっとかっこよく伸長するようだ。

 とはいえ住んでいるところも体の色もすこぶるつきに地味地味ジミーなイソハゼ属の1種、偏執的に探せばきっとたくさんいるんだろうけど、ひょっとしたらこれが人生最初で最後の出会いになるかもしれない…。