水納島の魚たち

カガミチョウチョウウオ

全長 10cm

 チョウチョウウオといえばカラフルなもの、というイメージをお持ちの方が多いと思うけれど、このカガミチョウチョウウオはかたくななまでに地味路線である。

 滅多に見られない種類、といった付加価値がつけば話は別なのに、地味なうえにどこでも普通に見ることができるとなると、誰も話題に取り上げないのも無理はない。

 でもどんなに地味でも、やっぱり幼魚はカワイイ。

 ずっと観ていると、微笑みかけてくれさえする。

 もちろんホントに微笑みかけているわけじゃないけれど、こんな顔で見つめられれば、愛さずにはいられない。

 幼魚が愛らしい一方、オトナの世界にはオトナの事情があるらしい。

 ペアで仲良くガレ場を散策しているカガミチョウの前に、シングルライフが長そうなカガミチョウが現れた。

 すると、ペアのオスらしき方が、メスらしき方に近寄らせないよう、通せんぼするかのようにヒレを広げて立ちはだかる。

 写真じゃ3匹仲良く泳いでいるようにしか見えないけど、真ん中のオスらしき子が随分頑張っていた。

 横恋慕君もなかなかにしぶとく、一度や二度追い払われたくらいでは引き下がらず、ついては離れ、ついては離れを繰り返しながら、随分長くこのペアにまとわりついていた。

 毎日のどかにペアで散策しているように見えても、その平和な日々を守るのはなにかと大変なようだ。

 ひょっとして、カガミチョウチョウウオの「カガミ」とは、平和な暮らしを守り続けるオスの地道な努力が「オトコの鑑」だからとか??

 < 違うと思います。