全長 10cm(写真は25mmほど)
カゴシマオコゼが属するイボオコゼ科の魚たちは、オトナになってもさほど大きくならないようで、なおかつ幼魚の頃は写真だけではほとんど判別不能という特徴(?)を持っている。
なので写真の魚がホントにカゴシマオコゼなのかどうか、根拠があるわけではないことをあらかじめお断りしておく。
ツマジロオコゼ同様、本来はもう少し目立たないところで暮らすべき魚なのだろうけれど、ワタシがこれまで出会ったものたちは、白い砂地にポツンといるか、あるいは白い砂地に転がる死サンゴ石のそばでジッとしていた。
ツマジロオコゼに比べるとその遭遇頻度は限りなく低く、過去25年間(2019年現在)でも数度に過ぎない。
いくら白い砂地に黒いのがいれば目立つとはいっても………
これがヒメオニオコゼのオトナくらいのサイズがあるならともかく、↓こんなに小さい。
冒頭のチビターレに至っては……
さらに圧倒的に小さい(ただし両者がホントに同種かどうかは不明)。
こんなに小さいチビチビが砂底にポツンと、それも限りなく個体数僅少なのだもの、出会えるかどうかはただただ運だけが頼りだ。
黒くて地味だしパッとしないし動かないから、観ていてもさほど楽しい魚ではない。
でもその出会いはまさに千載一遇(@水納島)なのだから、そんな幸運に恵まれたなら、心ふるわせて隅々まで鑑賞しましょう。
※追記(2025年7月)
手元に残っている画像記録上では、実に18年ぶりにカゴシマオコゼと再会することができた。
今年(2025年)7月のことである。
その2〜3日前に出会った5mm弱のウミテングチビターレと再会すべく、砂底を逍遥していたオタマサが発見してくれたもの。
カゴシマオコゼとイボオコゼはそっくりで、このようなせいぜい25mmほどのチビだと我々シロウトにはまったく見分けがつかない。
しかるになぜここでカゴシマオコゼと断言しているのかというと、それはフィーリング。
なので、くれぐれも同定を真に受けないようご注意ください。
徒労覚悟で砂底を徘徊し続けるオタマサでさえ出会えないくらいだから、少なくとも水納島ではまぎれもないレアもののカゴシマオコゼ、それだけに執拗に観察していたところ、カゴシマオコゼの移動方法がかなりユニークであることを知った。
白い砂底にポツンといると一見目立つようでありながら、かりんとうか誰かのウンチか木切れにしか見えないものが目の端に入ったからといって、これを魚、いや生き物と認識するのはムツカシイかもしれない。
そんな自身の特徴を理解しているらしいカゴシマオコゼは、まるでうねりや流れによって無生物が揺れ動くように見せながら移動するのだ。
先ほどの画像のようにただそこにいるだけのように見えつつ、さりげなく頭のほうを上に持ち上げたかと思うと…
…今度は尾ビレ側をクイッと持ち上げる。
あたかもうねりにたゆたっているようでありながら、その実能動的に動いているらしく、ジワジワとながらもちゃんと意図した方向へ移動している。
たとえ白い砂底に黒いボディではあっても、彼らはこのようなシャクトリムシ作戦でサバイバルしているらしい。
シャクトリムシだけにひとつのポーズで止まったままになっている時間があって、尾ビレをもっと持ち上げているときには、なんだかシャチホコのようにも見えた。
これまで出会ったことがあるのはいずれもチビチビたちで、いまだ出会ったことがないオトナ(10cmほどになるらしい)もまた、似たような動きをするのだろうか。
こうして18年ぶりの再会を喜んでいた頃、オタマサはさらに別の個体とも出会っていた。
スーパーファインな砂粒と比してこのサイズ、いつものごとく人差し指と比べれば…
…激チビターレであることがわかる。
18年ぶりだというのに、いきなり同じ日に2個体だなんて…。
これまでは単に我々が節穴だっただけで、毎年コンスタントに観られるくらいにはいたのかな、カゴシマオコゼ?