水納島の魚たち

カタグロホホスジモチノウオ

全長 15cm

 ミツボシモチノウオ同様、前世紀から存在は知られていたにもかかわらず、2013年になるまで長い間和名がつけられなかったカタグロホホスジモチノウオ。

 和名が無かった頃は、ホホスジモチノウオ属の1種とかスレンダー・ラスなどといったテキトーな英名で呼ばれていた。

 テキトーながらもスレンダー・ラスは語呂も見た目も程よかったのだけど、「片黒」だなんて、体の反対側は真っ黒なの?

 …と思いきや、「片黒」じゃなくて「肩黒」という意味なのだった。

 メスを求めるときなどオスが興奮色になると、ちょうど肩にあたる位置に黒斑が出てくるらしい。

 だからといって13文字を必要とする名前は長すぎる…。

 ホホスジモチノウオ属の魚だからこうなっちゃったんだろうけど、同じホホスジモチノウオ属のヒトスジモチノウオのように、いっそのことカタグロモチノウオでいいじゃん。

 ダメ?

 カタグロ(以下省略)は水納島では砂地のポイントでは観られず、岩場のポイントの水深20m以深くらいで姿を見かける機会が多い。

 同じ仲間の他の魚たちに比べると、英名のとおり体つきが細いので、わりとすぐに見分けることができる(写真の魚がホントにカタグロであれば、だけど)。

 やはり彼らも体色をコロコロと自在に変え、冒頭の写真のように背側だけ赤味が強いこともあれば、背側も腹側も赤くなっていたり…

 ↓このように全体的に薄くなっていることもある。

 濃淡はけっこう素早く変化させることができるようながら、いずれにせよ赤系統の色味なので、光を当てなければ深い海中では地味に見える。

 そのため海中では、ほとんど目立たない存在だ。

 これくらいの色合いやサイズの子はどうやらメスらしく、オスはもう少し大きく育ち、やる気モードになっているときはなかなかにカラフルに発色しているらしい。

 あいにく他のモチノウオ類のように、ダイビング中最も長く時間を費やせるリーフ際の浅いところに居てくれないものだから、興奮モードのオスやオスがメスに対して張り切っているシーンはいまだ目にしたことがない。

 張り切るかわりに、けだるい午後のアクビは披露してくれた。

 やはりホホスジモチノウオの仲間だけあって、本気を出したらその口はでっかい。

 その名の由来である「肩黒」や、立派なオスのやる気モードの様子を捉えることができたなら、追記にて紹介いたします。