水納島の魚たち

キビレハタ

全長 40cm(写真は25cmほど)

 イシガキハタと同じく、ターボスネイル生息密度調査中にリーフ上の浅いところで出会ったハタは、いつものごとくその場ですぐさま種類がわからなかった。

 ただ、模様の感じがよく目にしている他の似たタイプのハタたちと違っている…と思ったので、手にぶら下げていたコンデジでパシャ…と撮った次第。

 それは2019年9月のことなのに、その後正体不明のまま長らくお蔵入りしていたのは、ひとえにこの仲間たちの区別が我々シロウトには難しいことによる。

 ところが昨年(2023年)末にイシガキハタの正体が思いのほかすぐにわかってしまったものだから、これもまたすぐにわかるかも…と期待して調べてみることにした。

 手掛かりは、遭遇当初にも違和感を覚えた、他と全然異なる(ように見える)点々模様だ。

 すると、どうやらキビレハタという種類であるらしいことがわかった。

 図鑑的解説によれば、キビレハタはやはりターボスネイルが観られるような波当たりの強いリーフ上を好んで暮らしているようだから、普段のボートダイビングで姿を見かけたことがなかったのも無理はない。

 同じような場所を好んでいるイシガキハタは大きくても20cmほどと小型の種類だから、そういった波当たりの強い場所ではヘタに大きくなっていられないのだろう…と愚考したのだけれど、キビレハタは成長すると40cmに達するそうな。

 ある種メルヘンかつ平和な世界でもあるリーフ上で40cmものハタだなんて、おそらく誰からも嫌われ者になっているに違いない…。

 ボートダイビングばかりしていると、浅いリーフ上にタンクを背負って徘徊する機会はないものだから、キビレハタと思われるハタの画像記録はこの時コンデジで撮った写真しかない。

 その気になって探せば、けっこうホイホイ出会えるものなのだろうか。

 画像検索をしてもヒットする水中画像は僅少である一方、釣果の画像はポコポコ出てくるから、きっと個体数はフツーに多いのだろう。

 ところで画像検索では、和名で検索しても釣果の画像ばかりだから、学名で検索してみたところ、もっぱら海外の様々な海で撮影された海中写真を数多く目にすることができた。

 ただし海域が異なるためか模様の感じがまったく異なる画像も多く、キビレハタというのはマチガイなのかな…と思い始めたところに、ビンゴ!な画像を発見。

 そこにはちゃんと学名がEpinephelus macrospilos(キビレハタ)と記されていたから、もう大丈夫だ…

 …という、かぎりなく薄い根拠でしかないので、皆様におかれましてはけっして惑わされることのなきようお気をつけください。

 でもキビレハタだという目で観てみれば、なるほどたしかにヒレの端が黄色っぽいような…。

 あいにくこの時はヒレをほとんど畳んだ状態でしか撮れなかったし、点々模様が入っていないことが特徴という胸ビレもまったく写っていない。

 せっかくなら、ヒレ全開の姿も残しておきたいところ。

 ターボスネイル生息密度調査の際に注目すべきハタの仲間が、またひとつ増えてしまった…。