水納島の魚たち

ハイブリッド

コクテンフグ×ミゾレフグ(推定)

全長 20cm

 今秋(2025年)久しぶりに訪れたとある岩場のポイントで、思わず「おっ!」となる魚に出会った。

 ミゾレフグかと思ったのだ。

 でも上から観ると…

 …その背中はコクテンフグのようでもある。

 では横から見ると…

 …ミゾレとコクテンのガッタイガー。

 ちなみにコクテンフグの黒っぽい子はこんな感じ。

 そして、たくさんいるコクテンフグに比べると遭遇頻度が激少ないミゾレフグはこんな感じ。

 両者をを合わせれば↓こうなる…

 …っぽいじゃないですか。

 コクテンフグの稿でも紹介しているように、オトナのコクテンフグには↓このようなカラーバリエーションもあるんだけど…

 正体不明のガッタイガーのボディをもう少し精細に見てみると、↑このバージョンのコクテンフグの黄色が浮いている部分もある。

 背中には黒い点が散らばっているし、黄色も出ているとなると、どちらかというとコクテンフグよりなのかもしれないけれど、少なくともワタシはこのようなカラーバリエーションのコクテンフグに出会ったことはない。

 ミゾレのようでミゾレでない(ベンベン)

 コクテンのようでコクテンでない(ベンベン)

 それは何かと訊ねたら…

 ひょっとして…両者のハイブリッドか?

 ホンソメクリーニングを受けている様子は、なんとなくコクテンフグフォルムという感じではあったけれど、これがコクテンフグなら、それはそれでオドロキモモノキサンショノキ。

 聞くところによると、フグの仲間、特にクサフグ属には交雑個体が多いと昔から漁師さんたちの間で評判なのだそうな。

 「下関のふく共同研究機関」というところが発行している「下関のふく通信NO.7 」を拝読したところ、クサフグ属のフグたちは種分化して間もない近縁も近縁の集合体だそうで、せいぜい200〜300万年の間に爆発的に種分化しているという。

 なので種としての歴史が浅いこともあって、交雑がいともたやすく観られるのだとか。

 コクテンフグもミゾレフグももちろんクサフグ属ではなくモヨウフグ属ながら、同じフグの仲間だもの、クサフグ属のフグたちに比べれば頻度は低くとも、交雑個体が生まれたとしても不思議はないのかもしれない。

 というわけで、当サイト本コーナーではこのガッタイガーを、「コクテンフグとミゾレフグの交雑個体」と認定いたします。