水納島の魚たち

モンヒモウミヘビ

全長 50cm

 トンガリホタテウミヘビと同じように、周囲に特に何も無いところで顔だけ出していることが多いモンヒモウミヘビ。

 トンガリホタテウミヘビに比べ2周りほど小さいけれど、共生ハゼ目的など、砂底をサーチするダイビングをしていると、チョコチョコ出会う機会がある(観られるポイントは偏っている気がする)。

 ただしトンガリホタテウミヘビよりもいっそう警戒心が強い子が多く、そのうえ小さいために、こちらが気付く前にさりげなく穴の中に身を引っ込めているフシもある。

 そのためなるべく遠目から発見しなければならない。

 …と思っていても、気がついたらすぐ目の前にいることもある。

 慌てて急速停止、後進一杯!!という動作を少しでもすると、彼は機敏に気配をキャッチし砂中に埋没してしまう。

 もっとも、たとえ引っ込んでしまったとしても、個体によっては、引っ込んだところから20〜30cmほど後ろの砂がモコモコモコと動き、そこから再び顔を出してくれることがある。

 その様子が楽しくて、再度やってもらおうとわざと引っ込んでもらったら、続く3度目以降は顔を出してくれなくなってしまった。

 仏の顔も三度まで。

 しかし、なかにはずっと「仏」でいてくれる子もいる。

 冒頭の写真の子は警戒心がユルユルなのか、カメラを向けて近寄っても、引っ込むどころか逆にやや身を乗り出してくれた。

 それならば…とダメ元で真上から失礼してみると、モンヒモウミヘビは……

 …ジャバ・ザ・ハットだった。

 この写真は口をパクパクさせているところで、このようにいつも口を半開きにしているわけではない。

 口を閉じるとわりとキリリとした顔になる。

 顔の黒点は個体差がけっこうあって、ひとつひとつの点々が大きいと黒っぽく見えるものもいる。

 逆に、白っぽく見えるほどに点々が小さく少ない子もいる。

 このように多少の個体差はあれど、顔周辺がおおむね白が優勢になっているのは海底の砂が白いからのようで、もっと黒っぽい砂底にいるモンヒモウミヘビの写真をネット上などで拝見すると、黒点だらけで大変なことになっているものもいる。

 顔の色味はいずれであれ、体は黒点が勝る色合いになるらしく、顔だけの姿と全身とでは、まったくイメージが異なる。

 ま、彼らもやはり夜行性のようだから、日中にダイビングしている限り、その全身をさらけ出した姿に会う機会はまずないだろう。