水納島の魚たち

ムシベラ

全長 25cm(写真は25mmほどの幼魚)

 分布域的には沖縄でもフツーに観られるはずなのに、長い間認識したことが無かったムシベラ。

 それもそのはず、彼らはもっぱらリーフ内の浅い環境を好むらしく、とりわけオスは個体数が少ないらしい。

 そりゃオスの姿など観たことが無くて当然だ……

 …と開き直ったら、今(2021年)から四半世紀以上も前にオスの写真を撮っていた。

 記憶に残っていないのも当然、フィルムマウントには「ホクトベラ」と書いてあった。

 ムシベラが無視ベラになっていたこのオスは、色形からして20cm超はあるだろう。

 2020年までは、あとにもさきにもムシベラの写真はこの1枚きり。

 2020年のシーズンが終わった頃からベラベラブダイバーになって注目するようになってさえムシベラにはなかなか会えないくらいだから、四半世紀も前によくもまぁこんな魚を撮っていたものだと今さらながら自分に感心してしまう。

 その後も依然オスには会えないままながら、無視ベラではなくなったおかげか、春になってからリーフ際ではチビターレの姿を目にするようになった。

 春になるとリーフ際の死サンゴ石ゴロゴロゾーンにはいろんな種類のチビターレが湧いてくるので、あたりはチビチビだらけになる。

 石の陰から陰へスルスル移動したり、千切れた海藻のフリをしてフラフラしていたり、集団になってチョコマカ泳いでいたりと方法は様々に、だだっ広いところでそれぞれ目立たないように暮らしているチビターレたち。

 でもそういう子たちを目当てにその場にいると、その様々な方法のおかげでむしろ目立つから、ベラやブダイのいろんなチビターレに会うことができる。

 そういう季節でさえ、ムシベラのチビターレはかなり少ない。

 少ないながらも、同じ時期にもう少し成長しているチビもいた。

 ただ、死サンゴ石ゴロゴロゾーンのようなだだっ広いところではなく、リーフの縁のすぐ下のサンゴ群落の根元付近では、ムシベラのチビがブダイの仲間のチビターレに混じっていることもあった。

 やはり本来はリーフ内のこういったサンゴ群落環境が好みなのだろうか。

 6月になると、同じく浅い死サンゴ石ゴロゴロゾーンで、初めて若魚を確認。

 これで5cmくらい。

 先に紹介したオスまでの道のりはまだまだ長く、その間の色味はきっと様々なのだろうけれど、いまだ会ったことがない。

 カモメ岩の浜あたりからエントリーすれば、リーフ内でたくさん観られるのだろうか、ムシベラたち……。

 追記(2021年8月)

 夏場になってから同じような環境を訪ねてみたところ、↓これくらいに育っているムシベラに出会った。

 これまで出会ったチビたちと比べれば随分大きく、同サイズの子がもう1匹いた(写真右上)。

 これくらい育っていると、生理機能的にはもうメスなんだろうか、それともまだ若魚なんだろうか。

 それはともかく、どうやらムシベラのチビは、わりと開けた浅い死サンゴ石ゴロゴロゾーンが好きらしく、そのような環境があるリーフ沿いでチラホラ観られるようだ。

 となると、水納島では迷宮あたりのリーフ際でなら、やたらと会えるかもしれない。

 チャンスがあれば探訪して見ようっと。