水納島の魚たち

ムスジコショウダイ

全長 40cm

 モルディブあたりに行くと、このムスジコショウダイがたくさん群れているのを観ることができるのだけど、残念ながら水納島では、本種に限らずコショウダイ類が群れていることはまずない。

 というか、このムスジコショウダイとなると、オトナに出会ったことがあるのはこの24年間(2018年現在)で2〜3個体ほどで、モルディブで観られる群れのように日の当たるところにいることはほとんどなく、いずれの場合もアカマツカサがいるような暗がりに潜んでいた。

 個体数が少ないと、引っ込み思案になるのだろうか。

かつてモルディブはヴィラメンドゥで出会った群れは、↓こんな感じで表に出ていたのだがなぁ…。

 オトナは黄色が目立ってカラフルだから、群れるとひときわ見応えがある。

 でも彼らにとっては不幸なことにかなり美味らしく、そのような魚たちが呑気に群れなしていようものなら、沖縄の場合はたちまちのうちに漁獲されてしまうことだろう。

 沖縄近海で群れなすほど数が多くないのは、ひょっとするとそれが原因かもしれない? 

 特徴的な幼魚も、アジアコショウダイの幼魚に比べれば圧倒的に少なく、海中で目にした記憶があるような無いような……。

 少なくともカメラを携えているときに出会ったことはない。

 追記(2019年1月)

 …というのはワタシだけで、このオフに昔撮ったフィルムをふりかえってみたところ、なんとオタマサはビーチの水深2メートルほどのところで撮っていたのだった。

 (フィルムマウントにはヒレグロコショウダイと書いてあったけど)

 やっぱこういう浅いところにいるのかなぁ…。

 追記(2020年10月)

 今年(2020年)5月、リーフ際の岩陰でオタマサが発見したのは、ムスジコショウダイの激激チビターレだった。

 頭部はアジアコショウダイの激チビ時代とそっくりながら、体後半部のオレンジ色は、紛れもないムスジコショウダイ・激チビの特徴だ。

 かろうじて5mmオーバー、1cmには遠く及ばないこんな小さな激チビ、とてもじゃないけど存在に気づけない……

 …かというと、そういうわけでもない。

 なにしろそこはコショウダイのチビターレのこと、こんなに小さくてもやっぱりクネクネクネクネ動いているからだ。

 かつてオタマサがビーチで幼魚と出会ってから、実に四半世紀ぶりの再登場。

 このままこの場で成長してくれれば、かつてオタマサが出会った幼魚の姿も観ることができるかも…

 …と期待していたら、残念ながらこの激チビはその後ほどなくしていなくなってしまった。

 そのかわりそのひと月後、再びオタマサがさらに小さな激激激チビターレを発見した。

 やはりクネクネしていればこそ、その存在を知ることができたチビターレ。

 サイズ2〜3mmともなると、もはや何コショウダイのチビなのかなんてことは確認不可能ながら、体後半にかすかに入る黄色味に、なんとなくムスジコショウダイのチビターレのような気配が…。